天からの落とし物
@kurokuro11223344
第1話 星空の下
趣味は星を見ること、つい最近新しい天体望遠鏡を買い、お金に余裕がないのでバイトのシフトをさらに多めに入れた。大学2年生で明日から夏休みなので親戚の家に行く準備をしている最中だ。
プルルルル
電話だ。
『おー宗一、明日から2泊3日で沖縄に旅行に行くんだがお前も来る?』
俺の友達の
「ん~・・・、すまん明日から親戚の家に行くんだ」
『あーそいや去年もそうだったな、分かった。じゃあな!!』
「楽しんで来いよ」
『たりめーよ』
沖縄旅行はとても魅力的だが、年に数回しかないチャンスを無下には出来ない。
時間は夜の9時、明日に備えて寝るとしよう。
~次の日~
「よし、この席で間違いないな」
俺の席は窓側の席だ、景色を見れるのもいいけど、片方が壁だから人の圧をあまり感じなくてとてもいい。
着くまで寝るか。
~数時間後~
「よし、親戚の家までもうすぐだ!」
電車で約1時間、駅から20分くらいで無事に親戚の家に着いた。おばあちゃんが門前ですでに待っている。
「久しぶり!!ばあちゃん!」
「今年も来たか宗一!! 早よ家に来ぃ、飯が冷める」
すでに作ってたのかよ、流石だな。
「ほれ!野菜と川魚の天ぷらだよ、食べな!」
目の前に置かれてる食べ物からいい匂いがする。カップ麺などとは違う、100%自然の食べ物、いやカップ麺などとは勝負にもならん。
「おっほ、うめぇ!!」
「久々に本気で作った甲斐があったね!」
勿論完食だ、さてそれじゃ夜になるまでゲームとかして暇を潰すか。
辺りが暗くなってきた、行くか。
2階に上がり天体望遠鏡を持ち(最近買ったやつとは別の物)、外に出て開けた場所まで行く。
都市は常に光が灯っているいるから夜になっても暗い夜空にちょっとした星が点々とあるだけだが、ここは違う。
親戚の住んでるところはいい意味でド田舎だし、街灯もめっちゃ少ない。だから都市よりも星がよく見える。
こんな景色は街に住んでいたら絶対に見れない。
「ん?」
星空を見上げていると黒い影のようなものが空を横切り、すぐ近くの山へと消えていった。
「流石に気のせいではないな、確認しに行こう」
黒い影が落ちたのは向こうにそびえたっている山だ。早くしないと、すぐにどっかに行ってしまうかもしれない。俺は急ぎ足で山を登った、幸いそこまで険しくもないし、道が開けていて歩きやすかった。
山を登り始めて1時間、やっとの思いで山頂に着いた。心なしか星空がさらに綺麗に輝いて見えた。
山頂の開けた場所にマッチしない異質な物体が一つ地面からちょっと浮きながら止まっている。
形は流線型で窓がない、大きさはデカめのバスくらいの大きさだ。
「なんだこれ・・・、UFO?」
気になったので少し触った、すると何故か勝手に飛行機の扉らしきものが開いた。
もうこの際だから行けるとこまで行こう。そう決心した俺は中に入る。
明らかに中が広い、絶対このサイズじゃ収まらない広さをしている。
「SFとかによくある空間拡張技術・・・みたいな感じか?」
ここで一つ疑問が湧く。中には人または宇宙人、どちらにせよこのUFOを操縦する人が必要なはずだ、だけど見当たらない、誰が操縦してたんだ?。
『******* :***』
突如、訳の分からない音声が流れる。
「だ、誰だ!?」
するとその自動音声はカタコトで。
『・・・・**・・アア、ソウでしタ、ニホンゴ?にセッテイするのをわスれていましタ』
続けてカタコト音声で。
『前のショユウシャがシボウしてから約45790時間経過、所有者が船を手放してカラ30000時間経過すると所有権は失われ、次に乗って来た者に自動的に権利が移されマス。シタガッテこの船の所有権はオマエのものだ』
段々と日本語がスムーズになってきたな・・・・。ちょっと待て、所有権が俺に移った!?
「ちょいまち、どういうことだ!?」
『アト船内の設備も自由に使えるゼ、マスター』
「急に口調変えんな。あと意味わからんからもう一回説明しろ」
『前の所有者が居なくなって一定期間たったから、フリーになった。次に乗って来た人に所有権を渡す。そしてそれがお前だったわけ』
急すぎて理解できなかったが一応ちゃんとしてたか、それよりコイツAIだよな?こんなに流暢にしゃべるAIなんて初めてみたぞ。
『所有権を移すからここのパネルに名前を打ってくれ、安心しろ、ちゃんと日本語対応だ』
「そう言われてもね、急に現れて雑にしか説明してないのにそう急かされてもな・・・」
そう言うとAIは少し悩んだような声を出した後に。
『・・・・分かった、もうちょっと深く説明してやる。まずはこの銀河についてだ』
それから小一時間くらいずっと話を聞かされた。その中には俺の常識を変えるような真実が沢山あった。
「・・・つまりこの船は結構遠くから来たってことか?」
『ああそうだ、俺が適当に船の進路を決めたからな。まさかこんな辺境の星に着く羽目になるとは・・・』
「お前の出身の宇宙はどんなとこなんだ?」
『そりゃ、惑星間航行なんて当たり前の技術で惑星級の戦艦とかもあるし、宇宙海賊やら色々。どうやらこの星の文化の一つの「SF」ってやつとほぼ同じだな』
俺が空想だと思ってたことがゾロゾロと出てくる。こんなにワクワクしたのは初めてだ。
『なあ、一緒に旅しようぜ、知った風に喋ってるけど俺もまだ知らねえとこだらけなんだ』
「行くよ」
『そうか・・・、まぁすぐには答えなんて出ねえよな。・・・・・・え?』
「行くぞ、俺はお前より何も知らないんだからな」
行く価値は十分ある。
『ああ、そう来なくちゃな! じゃあ名前を教えてくれ、この船がねえと旅立てないからな』
俺はタッチパネルに自分の名前を打つ。
『・・・仲月 宗一・・・・ナカヅキ・ソウイチ、間違いねえな?』
「ああ」
『サテライト2号の所有権をナカヅキ・ソウイチに譲渡・・・・・完了』
『明日出発する、今日はとりあえず家帰って休め』
「・・・ああ、ありがとうな」
『これからよろしくな』
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