第76話 本音
さてどうしたものか……。
そもそも一度婚約破棄をしてきた相手を家に泊める事を両親、そして世間体が許すのかという事と、俺の両親は俺に対してだけは甘いので許可はしてくれるだろうし世間体に関しては無視すれば良いとしても最大の難所であるスフィアの両親が許可を出す訳がないという問題がある。
そして俺はスフィアの為に面倒事を請け負いたくないという考えである為この場合の『その時に考えれば良い』というのは『スフィアを泊める為に何をすれば良いのか考える』ではなくて『スフィアを諦めさせるにはどうすれば良いのか考える』という意味である訳で……。
しかしながら、それら全てを踏まえた上でも『スルーズがそれを望むのであれば叶えてあげたい』と思ってしまう訳で……。
いや、よくよく考えてみればこういう思考回路の両親から生まれて育ったのが俺というゴミであるのならば、スルーズには断腸の思いで『駄目なものは駄目』だと教えてあげるべきか……。
だがスルーズは頭が良いから『何でテレサさんは良いのにスフィアさんは駄目なの?』等と聞かれては何と返せば良いものか……。
過去にあった俺のスフィアの関係を一から子供にも分かりやすく教えるというのも正直な話避けたいところ、というかスルーズにはそう言ったものは教えたくないというのが本音である。
とりあえずスフィアが俺の家に住み込みで修業を受けたいと言っている訳ではないので、今はお茶を濁して未来の俺に托す事にするのであった。
◆
「コイツか……」
「見ただけでヤバいというのが伝わってくるな……恐らくロベルト様がいなければ帝国ないしこの巣にの近くにある周辺国家も大打撃を受けていた事だろう……」
ゲーム(ストーリーモード)では確か終盤付近で主人公たちが倒した魔物だったと思うのだが、それ故にこの世界での強さは規格外なのだろう。
スタンピートの元凶である魔物(下半身は大なカマキリ型、上半身は人型であり腕は大きな鎌の形をしている魔物)を見たテレサは、冷汗を垂らして苦笑いを浮かべながら話す。
それでもまだ苦笑いをする余裕があるのは俺がいるからだろう。
「きさまら、どうやってここまできたのかしら? 確か巣の周りには護衛として精鋭たちを何匹か配置していたはず。それに何かあれば感覚共有を使って私へ状況を伝えるように命令していたにも関わらず何も状況が伝わってないとは……何をしたのかしら?」
そして、このスタンピートの元凶である魔物は冷静な俺達とは違い逆に驚いているようである。
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