第75話 同じ家に住む
それに、経験上あの状態のスフィアはしつこいからな。何を言っても弟子にするまで絡んできただろう。
どうせ遅かれ早かれ弟子にしなければならない状態というのであればさっさと弟子にしてスフィアを満足させてやった方が時間が惜しい今は最適解だろう。
それに、弟子にした所で今までも一教師としてスフィアを指導していたので、何も変わらないだろうしな。
「そうですか……それならばよろしいのですが」
「まぁまぁ良いじゃあないかっ。弟子になりたいとせがむという事はそれだけロベルト様の事を評価しているという事でもあるし、ラインハルトとかいうヤツよりかは見る目があるし可愛いじゃないか」
俺の返答にマリエルは少し含みのある返しをして、テレサがそんなマリエルへ『別に良いじゃないか』となだめる。
「しかし、弟子を取るのは学生を指導するのとは異なり、テレサさんのような人物が一人増えるという事ですよ? それはロベルト様的には避けたい状況だと思うのですが? しかも相手はロベルト様の婚約を一度破棄した相手。周囲の目もあるでしょうし、なによりも家の使用人達がどう思うか……」
「なるほど……でもまぁ弟子にしたからと言ってテレサのように、俺の家へ押しかけて基本的に俺の側から離れないという事も無いと思うんだが……?」
そしてマリエルがスフィアを弟子にする事を良く思っていない理由が理解できた。
要はテレサのような人物がもう一人増え、それだけならば良いのだがその人物が俺との婚約を一方的に破棄した者であるという事が引っかかっているのだろう。
それを聞いた俺は『確かに』と思ってしまう。
しかしながら今さらスフィアに『やっぱり弟子にするのは嫌だ』というのは格好がつかないというもの。
「…………まぁ何とかなるだろう。それにそのような状況、無いとは思うがスフィアと同じように俺の家に住み込みまでして来ようとした場合は、その時に考えれば良いだろう」
なので俺は考える事を放棄して未来の俺が解決してくれる事に期待する方向にする。
「スフィアさんが私たちの家でこれから一緒に住むかもしれないのっ!?」
そして、移動しつつスタンダードの発生源を探しながら話しているとスルーズがワクワクした表情で嬉しそうに『スフィアも同じ家に住むの?』と聞いてくるではないか。
「スルーズはスフィアと一緒に住みたいのか?」
「はいっ! 何だか想像したら楽しそうだなって思いましてっ!」
「……そうか」
「はいっ!」
そう元気よく答えるスフィアを見ては、もしスフィアが俺の家に住み込むと言われた場合断れないな……と思ってしまう。
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