第68話 俺が言った事は嘘ではない
すると俺の目の前には天使の羽を生やし、銀色に輝く防具に様々な武器を手にした九名もの美しいヴァルキュリア達が並び、膝を突き俺の方を見上げながら見つめてくる。
その中でも真ん中にいるリーダー格であろう者が口を開く。
「我らが主様、召喚して頂き光栄でございます。して、我々は何をすれば良いのでしょうか?」
「周囲にいる魔獣や魔物を殲滅してくれ」
「かしこまりましたっ」
俺がそう命令した瞬間ヴァルキュリアたちは一斉に周囲にいる魔獣や魔物たちを殲滅しに行く。
「あの……ロベルト様……?」
「何だ? テレサ」
「私はもしかしなくても必要ないのだろうか……? 私もロベルト様の為に何か手伝いたいのだが……」
その光景を見た、俺と共に一緒に着いて来たテレサが涙目になりながら『ロベルト様の為に何かできる事は無いだろうか?』と聞いて来る。
確かに、周囲に散っていったヴァルキュリア達を見ると、その全てがテレサよりも強者である事が窺える為、それを見てしまったテレサは自分の存在価値を失ってしまう恐怖感を抱いてしまったのだろう。
確かにテレサはマリエルと違いメイド業ができるわけでもなければ料理が作れるわけでも執事として俺のサポートをできる訳でもない。
ただ自身の武力だけがテレサの存在意義であったのだが、今やその存在意義も無くなってしまったと思っているのだろう。
「お前はこれから俺と共に今回のスタンピートの原因であろう魔獣ないし魔物を探し出し討伐するという重大な役割がある。それにテレサは今現在が強さの限界という訳ではないだろう。確かに今はあのヴァルキュリア達よりかは劣るかもしれないが俺はテレサがそれ以上に成長すると信じているぞ」
「ロ、ロベルト様っ!! わ、私は一生ロベルト様について行くと誓おうっ!!」
とりあえず、近くでしょげられてしまうのも鬱陶しいのでテレサが求めていそうなそれっぽい言葉を投げてやると、しょんぼりしていた表情がパッと花が咲くかのように輝きを取り戻して行くではないか。
まぁ、元気になったのであれば良かった。
それに、俺が言った事は嘘ではないしな。
テレサ次第ではあるものの、召喚したヴァルキュリアよりも強くなる才能は秘めていると思っている。
「て、テレサって……あの戦乙女の雷、テレサ・フェルディナン・ダルトワでり最近まで冒険者ギルドの序列三位だった……っ!」
「うん? 確か君たちはロベルト様の生徒か。あぁ、そうだ。戦乙女と言われてはいたのだが見ての通りロベルト様が召喚したヴァルキュリアたちよりも弱い存在だ。今となっては恥ずかしい二つ名を当時は誇らしく思っていたものだ。そして今はロベルト様に序列を奪われたただの冒険者だ」
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