第67話 当然と言えば当然



 マスクという急に現われた担任の教師が、実は元クラスメイトでありスフィアの元婚約者だというのだから二人が驚くのも無理はないだろう。


 そう思いながらどう話せば良いものかとスフィアの方へ視線を向けると、その間に俺からスフィアを護るようにラインハルトが入って来る。


 相当警戒されているな……まぁ、今まで俺がスフィアにしてきた事を考えれば当然と言えば当然か。


「な、何で……っ」

「今は説明する時間は無いから説明は省くが、このスタンピートを終わらせたらちゃんと説明してやる。それと、この俺様を婚約破棄した事については何も思っていないし、むしろ婚約破棄をされても仕方がないと自分でも思っているので、その件でお前たちをどうこうするつもりは毛頭ない。一言でいえばスルーズの為に講師をする事となっただけでお前たちは何ら関係ないから安心しろ」

「ほ、本当でしょうね?」

「今この状況で嘘をついてどうなる。それにお前達如きを潰すだけであればとっくの昔に潰しているし、その程度の奴らに復讐だのどうだのとするつもりも無ければ、その価値も無い」


 とりあえず今はラインハルトと言い争っている暇はないので、そう吐き捨てると俺は周囲を見渡してどうやってこのスタンピートを終わらそうかと考える。


 ゲームのスタンピートには基本的に二種類(詳しく分けるともっと多いのだが)あり、魔獣の縄張り争いからくるスタンピートと、その上位種であり知恵を付けた魔獣または魔物が明確な意思を持って人間の生活圏を襲う為の戦力として魔獣や魔物を増やして一斉に攻撃させて起こるスタンピートがある。


 そして今回のスタンピートなのだが基本的に同系統の魔物や魔獣が多い事からその種の上位種が繁殖し、明確な意思を持って人間の生活圏を襲っているものと判断して良いだろう。


 確か今年は別段雨が降らなかったとかでの不作や蝗害などの他生物による不作など、その他状況での不作などは聞いておらず、それは自然界においても同じであると為食料が不足してしまい仕方なく人間の生活圏を襲って食料を確保するという事でもなさそうである。


 取り敢えず、スタンピートが起きた原因を探る事よりも、終わらせる事の方が優先順位が高いので、そちらへ思考をシフトする。


それに原因については終わってから冒険者ギルド側が調べれば良いだろう。


「とりあえず、ヴァルキュリア隊でも召喚すれば有象無象は大丈夫そうだな」


 そう思った俺は早速ヴァルキュリア隊を召喚する事にする。

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