第57話 認めてもらいたい
であるのならばスルーズが納得いくまで試行動をさせて、駄目なものは駄目と𠮟りそれ以外の事に関してはしっかりと受け止めてやるだけだ。
とくにスルーズのように特殊な家族関係の場合は子供の試行動というのは過激になりがちというのを知っていた為、それを覚悟のうえでスルーズを引き取ったのである。
むしろ今まで俺に嫌われないようにと気を遣い過ぎて変に大人びていたので、これでやっとスルーズの子供らしい一面を見ることができたと喜ぶべきなのだろう。
そんな事を俺はマリエルに説明しながら、今一度覚悟を決めるのであった。
◆スルーズside
ここ最近の私は変だ。
ロベルト様の事は感謝しているし、恩も感じていて、ロベルト様の為に何かしたいと思っているのに、その気持ちと反してここ最近は反抗的な態度を取ってしまっている私がいる。
何故自分の感情とは正反対の行動を取ってしまうのか、そして何故その行動を自分で止める事ができないのか自分でも理解できず、それがまた自己嫌悪として跳ね返ってしまい嫌になる。
そして私は気付く。
もしかしたら自分はロベルト様に認めてもらいたい、子ども扱いではなく大人として見てもらいたいのではないか? と。
「うーん、スルーズちゃんも難しい年頃なのね。私もスルーズちゃんくらいの時はそんな事もあったかしら? 因みに昨日私のお父様が私の部屋にノックもせずに勝手に入って来たから、一週間は口を聞いてやらないつもりよ。だからスルーズちゃんもそういうモノだと割り切って──」
「だったら、スタンピード阻止なんてどうでしょうかね?」
「ちょっとっ! ラインハルト、何を考えているのよっ!? それに関しては今冒険者ギルドが慎重に調査して、その結果待ちらしいじゃないっ! 素人の私たちが勝手にやって良い事じゃないわっ!!」
「だかこそでしょう。それに俺とスフィア、そしてスルーズの三人が居ればスタンピードが起こる前であれば事前に潰す事もできるのではいかと思いますがね?」
「まったくどこからその自信が来るのやら……。そんなのできっこないでしょう?」
その事をスフィアさんに相談してみると、スフィアさんが親身になって私の相談に乗ってくれているのを差し置いてラインハルトが『これから起こるとされているスタンピードを止めれば良いのでは?』という案を出してくるではないか。
その案をスフィアさんは却下するのだが、私は逆にラインハルトの案を聞いて『それだっ!!』と思ってしまう。
もし私がスタンピードを前もって止める事ができたのならば、ロベルト様に認めてもらえるかもしれないっ!
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