第54話 私の方が中身は大人なんじゃないの?
「嚙んでしまっただけなので、パパと言おうとしたとかではないですっ」
やはり私はこのスフィアとかいう女の事が嫌いかもしれない。
少し噛んでしまった事をわざわざ取り上げて言ってくるあたり、よっぽど性格が捻くれているに違いない。
そう思いながら私はスフィアとかいう女を要注意人物として心のメモに刻む。
因みにラインハルトとかいう奴に関しては、ただの馬鹿という判断を下した。
私よりも弱いのに、ロベルト様に楯突こうとする辺り自分の実力すら測る事ができない馬鹿なのだろう。
いつか私がこのラインハルトを倒す事によってロベルト様の凄さをその身に教え込む日が待ち遠しい。
◆
「スルーズちゃん、一緒にお昼ご飯食べに行こうよっ!!」
「分かりましたっ」
あれから一か月が経ち、スフィアさんに関しては当初のイメージとは異なり、もし私にお姉ちゃんがいたらこんな感じかもしれないな、と思えるくらいには良くしてもらっているし、私もそれなりに好きな人物となっていた。
「あ、俺も一緒に言っても良いですか?」
「…………どうする? スルーズちゃん?」
「私に模擬戦で負けたラインハルトさんですか……スフィアさんが良いなら構わないのです」
「ちょ、あ、あれはちょっと手を抜きすぎたというか、まさかこんな子供が召喚獣を使役しているとは思っていなかったからですからね。知っていたら流石に対処もできましたし、それこそあそこから逆転も狙えましたよ」
「実戦で殺された後にそんな言い訳ができると思っていたのでしたら、おめでたい頭をしていますね」
しかしながらラインハルトとかいうヤツに関しては当初よりむしろ今の方が評価が下がっている気がしないでもないが、どういう人物であるかは何となく理解でき始めた。
一言で言うと『男って馬鹿よね』、これに尽きる。
単細胞だし直ぐにどっちが強いかとか気にするし、スフィアにはデレデレなのが隠せてないし。
私の方が中身は大人なんじゃないの? と本気で思う時がある。というか既に思っている。
「ぐぬ…………っ! ま、まぁ今回は俺が負けた訳だから君の言葉は受け入れましょう。しかし次の模擬戦ではスルーズの手の内を知った状態なので前回のような奇襲作戦が通用するとは思わない事ですねっ!! 次は子供だからって手加減はしません──」
「……大人げない人とは私、一緒にお昼ご飯食べたくないかも?」
「──というのは嘘で、実際にスルーズは年齢の割にかなり強いですよね。それはやはりお父さんであるマスクさんが影響しているのですか?」
「そうです。私なんかまだまだ足元にも及びませんから。あの時マスクさんに売った喧嘩を買われなくて良かったですね? ラインハルトさん」
「ぐぬっ」
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ここまで読んでいただきありがとうございますっ!!
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