第50話 学園の講師になれた理由
「マスクさん、質問をしても良いですか?」
とりあえず俺もスルーズも自己紹介が終わって一息ついている所にラインハルト・ヴィ・ランゲージが俺を値踏みするかのような視線を向けながら質問があると手を上げるではないか。
コイツは確か、俺の元婚約者であるスフィア・ヨハンナ・エドワーズの事を片思いしており、当時婚約者であった俺の事を目の敵にしていた奴であり、そんな奴から値踏みするかのような視線を向けられて『質問がある』と言われたら『面倒くさい事にならなきゃいいが……』と思ってしまうのは仕方のない事だろう。
しかもこいつは無駄に才能だけはあるので神童と小さなころからチヤホヤされていたのも当時の俺は気に食わないと思っていたのだが、ラインハルトがムカつくやつであればあるほどラインハルト片思いしているスフィアが俺の婚約者という事で、悦に浸れていたのを思い出す。
「……何だ?」
「どうしてそんなに偉そうなんですか? 教師と言っても俺達と同年代ぐらいに見えるんですが? その為に仮面を付けているのでは? と勘繰ってしまうのですが。確か先生は体術や魔術を教えるとの事ですが、俺達より弱い奴には教わりたくないので、一度俺と模擬戦をやって欲しいのですがどうでしょうかっ!?」
その俺の感情がラインハルトにも伝わってしまったのだろう。
初めは怪訝そうな表情から明らかに怒りの感情が加わり『俺達より弱い奴には教わりたくない』と言うではないか。
「…………」
「前の魔術と体術の教師も俺にギリギリ勝った分際で偉そうですから、体術と魔術の教師が変ると聞いて当初は喜んだんですがね、しかも今回は魔術と体術その両方を教えるというからどんな教師が来るのかと思っていたのですが、蓋を開けてみたら俺達と歳があまり変わらないような奴が来るなんてきいてないって話ですよ。それで、模擬戦はいつしますか? というかマスクさん? あなたの声どことなくムカつく奴の声に似てるんですよねっ!!」
なるほど。
俺がすんなりと学園の講師になれた理由がなんとなく分かった気がする。
まかさこいつがこれ程ウザい奴だったとは……こんなウザい奴がいたら講師も授業したくないと匙を投げたくなるのも痛いほど理解できる。
どうやら俺はギルドマスター、そして学園長の手のひらの上で踊らされていたという訳か……狸爺共が……っ!
「…………それで?」
「そ、それでって……まさか俺と模擬戦はしないというんですか? 講師としてきた貴方が? そんなに負けるのが怖いんですか?」
「そんな口車に乗る訳がないだろう。 俺の授業を受けたくないというのであれば結構。ただし単位はやらないが、授業に出ないのだから当然だろう?」
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