第28話 その目に焼き付けておけ



 俺はそういうとストレージへ今所持している刀を収納すると、代わりに青白く輝く刀を取り出す。


「そもそもだ。貴様の使っている剣は確かにこの世界からすればかなりの業物であろうことは間違いないだろう。しかしながら、俺から見た貴様のその片手剣はレア度星三程度のレアリティであり、ゲームサービス開始時ならばいざ知らず、サービス開始してから五年経過した今、ハッキリ言ってゴミと言っても過言では無いだろう。その片手剣は氷タイプの魔術の威力を二割上昇し、物理攻撃力は五百、防御力は百、素早さは五十増加。専用武器スキルは氷柱を飛ばす『アイスニードル』と巨大な氷の塊を落とす『アイスクラッシュ』の二つのみ。まさかこの二つを融合させて巨大な氷柱を飛ばして来た事と、それを身体で隠して俺が避ける事を難しくしてガードさせ、そのガード硬直中にさらに別角度から攻撃で足止め、トドメに『アイスクラッシュ』で仕留める……確かによくぞここまで自己流で極めたものだ」

「くっ、どうして全て防がれてしまうのだっ!?」

「人が話している時くらいは攻撃せずにちゃんと聞いたらどうだ?」


 そして俺は、テレサが使っている片手剣について俺の感想と、それを使った立ち回りとコンボを称賛している間もテレサは今まで以上の猛攻をしてくるのだが、その攻撃を俺は全て避けていく。


 攻撃モーションがゲームと同じだと分かった今、テレサがどんな武器スキルを行使するのか分かる為、避けるだけならば容易い。


 防御壁を張ったり、ストレージから取り出した刀で切り落とす必要すらない。


「まぁ、勝手に喋らせてもらおう。他に手本となるプレイヤー、立ち回りやコンボが乗っている攻略サイトが無い状況で良くここまで自己流で極めたものだと関心はするが、所詮は自己流であり、数多のプレイヤーが導き出した最善の立ち回りやコンボと比べれば、素人に毛が生えたレベルでしかない。総じて俺から見たテレサの評価は、ゴミみたいな武器を使ってそれっぽい立ち回りをしてくる素人という評価でしかない。あまり初心者狩りは好きではないのだが、テレサはこの世界では玄人に当たるので文句は言わせない」


 そこまでテレサの攻撃を避けながら話すと俺は防御(と言っても避けているだけなのだが)から攻撃へと転じる事にする。


「この刀は貴様が使っている片手剣を刀として進化させた最高到達点の一振りだ。能力や見た目は変わっているが基本的な立ち回りやコンボは何も変わらない。もし今よりも強くなりたいと思っているのであれば俺の立ち回りとコンボをその目に焼き付けておけ」

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