第24話 特別昇級試験を始めます
そう上から目線でテレサはそう言うと『ついてきなさい』とギルドの地下にある闘技場へと歩き始めるので、その後を追う。
「ルールの説明はよろしいでしょうか?」
「かまわん。それに序列持ちに特別昇級試験を受ける場合は基本的にルールなど有って無いようなものだろう? あるとするならば『この闘技場内で戦わなければならない』くらいのものだろう」
「分かっているようなので問題はないみたいだな。では早速始めようか」
「フン、自ら負ける為に早く模擬戦をするように催促してくるとは良い心がけではないか」
そして俺たちは互いに軽く言い合いながら修練場の中央へと向かう。
観客席の方を見るとスルーズとマリエルが心配そうにこちらを見ているのが窺る。
その表情からは、俺が負けるとは思っていないが、一応相手は序列三位な為心配ではある、といったようなところであろう。
「それでは、これより特別昇級試験を始めますっ!! 試験開始っ!!」
俺とテレサが闘技場中央にてお互いに準備が終わっている事を受付嬢が確認すると、そのまま特別昇級試験の開始を告げる。
その瞬間テレサは腰に差した片手剣を抜刀すると、そのまま俺に切りかかってくるではないか。
しかし、テレサの斬撃は俺にまでは届かず、開始と同時に張った透明の防御壁が防いでくれる。
「……調子にのっているだけの実力は、最低限持っているという事か……面倒臭い奴だな。どうせ負けるのならば先ほどの一撃でやられていれば良いものを……」
俺に攻撃を防がれた事がよほど腹が立ったのだろう。テレサはそう言いながら俺へ素早い動作で切りかかってくる。
その動きはおよそ常人では追いきれないスピードであり、勿論今世で努力などしてこず前世でも一般人である俺も見切る事はできない。
とはいってもレベルもかなり上げて、魔獣相手ではあるものの戦闘経験を積んできている為全く反応できないという訳でもなく、現時点では反応できないだけであり身体強化や反応速度強化などを駆使すれば余裕で見切れるだろう。
しかし、身体強化や反応速度強化をしなければ見切れないから防げないという訳でもなく、俺はその斬撃全てを防いでいく。
というか初めに俺を囲うように張った防御壁をテレサが破壊する事ができずに、闇雲に切りかかっているだけなのだが、これが更にテレサを苛立たせているのが彼女の表情からも窺える事ができる。
「卑怯だなっ!! 亀のように閉じこもっている事が貴族の戦い方とでもいうのなのかっ!? 言っておくが、このまま防いでばかりでは当然特別昇級試験は失格だなっ!?」
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