第23話 教育してあげます
そしてテレサは受付嬢へ特別昇級試験を許可するように促しつつ、俺の事をかなり見下した発言をしてくる。
その事でスルーズとマリエルが怒りの表所を隠す事もなくテレサを睨みつけるので、俺はそれをやめるように二人へ窘める。
そもそも何故テレサがここまで貴族というだけで嫌悪感をいだいているのかは、彼女に何があったのかは知らないのだが、俺がクズただという事には変わりないので、俺視点で言えば『まぁ初対面から失礼な事を言われても仕方がない』と割り切れているので、怒りの感情が無いとは言わないがそれを表に出す程のものでもない。
「それに、私は貴族というものを基本的には信用していないが、プライドの高さだけは信用している。ここでこの方が一筆とサインを書いたのであれば、生きている限りそれを破る事はないだろうし、もし破る時は、それは自害する時だろう。私には命よりもプライドや家名を重んじる価値観など分からなければ分かりたくもないのだがな」
「フン、分かっているじゃあないか。言い方は癇に障る部分もあるがコイツの言う通り私は言ったからにはその約束は守る。その上万が一の事を考えて一筆とサインも書くとも言っているのだ。後は君が俺の要求である特別昇級試験を許可するだけだから早くしろ」
それに、ここはこのテレサとかいう女性の話に乗った方がスムーズに事が動くと判断したため、ここでスルーズとマリエルの態度で話がこじれてしまうようになる事は、できれば避けたいところである。
「…………わ、分かりました。ロベルト様の特別昇級試験を許可します」
そして、対戦相手であるテレサ本人が来てくれたお陰で特別昇級試験を許可が下りて、とりあえず一安心である。
今日を逃せば明日もここに序列持ちの冒険者であるテレサがいるとも限らないし、もしいなくなった場合は自分から噂を頼りに会いに行かなければならないという糞面倒臭い事になっていた所で、そうなる事を回避できたのはかなり大きい。
子供の頃モンスターを捕まえて戦うゲームで準伝説と呼ばれる三匹の犬型モンスターを、ゲットできずに諦めた経験のある俺からすればテレサが来てくれたのは有り難い限りだ。
「それでは特別昇級試験の許可も下りたところだし早速模擬戦と行こうか? どうせいままでもそうやって権力で脅して特別昇級試験をクリアして来たのでしょうが、この私には通用しない。むしろ特別昇級試験を受けた事を後悔するくらいに教育してあげよう」
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