第20話 序列三位



 当然俺が学園を退学してスルーズを養女にする事は両親の許可(主にお母様)を得る事が出来たので(お父様は『俺はまだ何も聞いていないぞっ!!』と喚いていたのだが、お母様の一喝により静かになった)次の目標は冒険者ランクを上げる事である。


 当初は別に上げる必要は無いとも思っていたし、冒険者ランクが低かろうとも討伐高ランクの魔獣をこっちで勝手に狩れば良いと思っていた。


 しかしながら冒険者としてとりあえずこれから食べていくと考えると、生活基盤にするにも関わらず同業者やそれに関わるギルド職員達に悪い意味で目を付けられるのはやはりいい選択とは言えないだろう。


 それこそ買い取り拒否をされる可能性もあり得ないとは言えない訳で。


 俺一人ならばそれでも良いのだが、今は娘もできたのでそんな自分勝手な行動は慎むべきだろう。


 因みにランキングを上げていく事に関して、一気に上げて行った関係で変な噂も立つ事を考えて今現在は冒険者ギルドへ向かう時は、俺は勿論娘であるスルーズ、そして側仕えメイドであるマリエルには正体を隠すマスクをしてもらっている。


 これが一般人であれば男女三人組かつ一人がまだ幼い子供という情報だけでも即正体が誰なのかバレて面倒な事になっていただろう。


 しかしながら俺が公爵家という事である為『正体が俺であるとバレたとしても正体を隠したいという意図が伝わっている以上詮索する事も、正しいかどうか聞く事もできない』という『やんごとなきお方的な暗黙の了解バリアー』が発動する為、この点に関しては公爵家で良かったと思える点でもある。


 まぁ、例え一般人であったとしても関係ないのだが娘に危害が加えられる可能性が高くなる可能性を考えると『貴族に下手なちょっかいをかけるのはヤバい』という一般的な認識も使っていく。


 娘の為であれば使えるものは使っていく事に躊躇いはないので、貴族としての権力も振りかざそう。


「また特別昇級試験ですか……。しかも今この街にランカーである戦乙女の雷、テレサ・フェルディナン・ダルトワ、序列三位がいるからとご指名……本当に言っているんですか? 死にたいんですか? 自殺志願者ですか?」


 そして俺は今日も特別昇級試験を受ける為にスルーズとマリエルと共に冒険ギルドへ訪れていた。


 この特別昇級試験なのだが、現在のランクよりも冒険の実力が見合ってないという状況を無くす為に作られた処置であり、ギルド側は実力に見合った仕事を斡旋する事により高ランクの仕事の回転数を上げ人材を無駄にすることを防ぐ事ができるのと、冒険側も実力に見合った報酬が貰えるというメリットがある。


 

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