第16話 少しばかり傷ついてしまう
「ロベルトッ! ロベルトはいるかっ!?」
「そんなに大きな声を出さなくともロベルトはここにおるわっ!!」
そしてお父様は備え付けているドアノッカーも鳴らさずに入って来ると開口一番俺がいるかと家の中響き渡るほどの声量で問いかけてくる。
それ程にまで俺に思う事があるというのは理解できているので素直にお父様の場所へ行こうとすると、よせばいいのに早速お爺様が噛みついているではないか。
そして何だかんだと言い争って居る二人を見て、仲が悪そうに見えて実は仲が良いのでは? と思ってしまう。
「あら、ロベルトッ!! 何だか前見た時よりも逞しくなっているように思えるわねっ!! 頑張っているのね……っ!!」
そんな二人の口喧嘩などお構いなしといった感じでお母様は周囲をきょろきょろと見渡し、そして俺の事を見つけるやいなや以後い勢いで近づいて来て抱きついて来ると、頭を撫で始めるではないか。
「流石にもう子供じゃないからそういうのは止めて欲しいんだけど? お母様」
「あらやだ、つい昔の癖で。ロベルトも背伸びしたい年頃だものねっ」
「いや、背伸びしたいとかではなくて普通に恥ずかしいだけだから」
「はいはい、そういう風にしといてあげますわねっ」
何故前世でも今世でも母親というのは少しばかり鬱陶しいのだろうか?
そして、鬱陶しいと感じつつも振り払う事ができないのもまた事実である。
「マリエルも久しぶりですわね。その感じだとロベルトとは上手くいっているみたいで安心だわ。もしかしたらいなくなっちゃうんじゃないかと心配していたのだけれども、それも杞憂みたいね」
「はい。以前のロベルト様であれば間違いなく逃げていたでしょうが……今は変わられましたので……」
そしてお母様は次にマリエルに話しかけるのだが、逃げているかもしれないと思っていた事に少しばかり傷ついてしまうんですけど……。
というか、記憶が戻る前の俺がマザコン過ぎた影響でそっち方向に引っ張られそうになるのは本当にどうにかしたい。
そんなお母様に話を振られたマリエルは、少しだけ恥ずかしそうにしながらも『ロベルト様がちゃんと更生したから逃げる必要が無くなった』と返事を返す。
実の息子である俺の親の前でそれを言ってのけるその精神力には脱帽である。
「本当に、見ないうちに成長しちゃって……その期間を見る事ができなかったのは何だか少し残念だわ。……あら、そこにいるのが噂のスルーズちゃんかしらっ!? 思っていた以上に可愛いですわねっ!!」
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