第15話 一長一短

 因みに娘の名前はスルーズという名前であり、苗字は無いらしいのでそのままスルーズという名前に養子として迎え入れた為苗字は俺と同じクヴィストを与えた。


 年齢は娘曰く今年の秋で七歳だそうだ。


「そう慌てるな、スルーズ。急いで強くなろうとして怪我でもしたら意味がないだろう。それに、今日は俺のお父様とお母様……スルーズのお爺様とお婆様にあたる人が来るから今日はここまでだ」


 そう言いながら俺は太陽の光を反射して綺麗に輝く銀髪の頭を優しく撫でてやる。


「わかりました……そこまで言うのならば……」


 すると娘のスルーズは納得はしていないけれど渋々といった感じで了承してくいれる。


 この歳くらいであれば、本来ならばもう少し食い下がってもおかしくはないのだが娘本来の性格なのか、血が繋がっていない故に見捨てられたら終わりだと思い俺顔色を窺い引き下がったのか、はたまたその両方かは分からないのだが、ある程度の我儘を言える関係性を構築する事ができればと思っている。


 恐らくその関係性を築く事ができるまでに『どこまで自分の我儘を許してくれるのか、そして許されない我儘をしても見捨てないのか』という、俺の愛情を確かめる時期が必ず来るためその時はしっかりと受け止めてやろうと思っている。


 それよりも今はできるだけ娘が寂しい思いをしないようにある程度大きくなるまでは側に居てあげたいと思っている為、俺は学園を退学する事にした。


 その結論に至る前に一度お爺様に相談してみたところ『貴族が学園に入学する理由は箔を付ける為だけじゃ。早い話が卒業していなければそれだけで舐められてしまわれかねない。ならば逆に舐められない箔を付ければ学園を退学しても問題は無いだろう』との事を教えてくれた為、学園を退学する事にした訳である。


 前世で言うところの大学や高校を卒業していなくてもスポーツ選手だったりアーティストだったり、他で稼いでいれば他人から学歴の事でとやかく言われるような事は少なくなるみたいなものなのだろう。


 勿論俺が学園を退学した事について、今後どんな拍を付けたとしてもネチネチと言ってくる奴や見下してくる奴は一定数いるだろうが、そう言う奴らは性格が終わっていると判断して以後縁を切ればいいだけであり、そういう人種を視覚化できるようになると思えば何も問題はないだろう。


 しかしながら、逆にその箔を利用しようとする奴らも一定数現れるだろうから一長一短なのだが……。


 そしてまだまだ特訓をしたいという娘を何とか宥めて家に帰りお父様が来るのを待っていると、外に見慣れた馬車が着く。


 どうやらお父様たちが到着したようである。

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