第14話 自然の掟
かなり重要な話しだとは思うのだが、私がそうやって悩んでいる事などお構いなしに妻は『かわいい孫ができたわね』などと喜んでいるではないか。
これが女の子だったから良かったものの男の子であったらと思っただけで胃がキリキリと痛み始めると言うのに、こういう場合女は強いとは言うが妻の場合は強いと言うよりかはどこか抜けているというか、問題が起きたのならばその時に考えれば良いという思考回路をしているように思えてならない。
「今度孫に会いに行きましょうよ、あなた」
「まぁ、会いに行かずとも夏休みが終われば自然とこちらへ戻ってくるだろう? であればわざわざあんな辺鄙な場所にこちらから出向く必要はないだろう」
「あら、あなた。手紙を最後まで読んでないのかしら? ロベルトは学園を退学して娘が新しい環境に落ち着くまでお爺様の所で生活すると書いているわよ? それに恐らくわたくしが思うに、お爺様の手紙はその事が書かれているのではなくて?」
「……は?」
流石に妻の話している内容を信じ切れなかった私は、再度ロベルトからの手紙を確認するのだが、確かに最後の方に『娘の為に学園は退学してお爺様の所で生活する』と、要約するとそう書いているではないか。
「…………分かった一度ロベルトへ会いに行こう」
「ふふ、今からどんな可愛い女の子が私たちの孫になったのか楽しみですね」
「私は胃がひっくり返りそうになっているよ……」
そして私は眉間を抑えながら一度ロベルトへ会いに行く事にするのであった。
◆ロベルトside
幼女を拾って一週間ほど経過した。
当初は何かしらPTSDなど精神的に(正常な生活ができない程)壊れている可能性もあるかもしれないと不安ではあったものの、とりあえずそのようなところは見られず一安心である。
その原因の一つに俺が拾う前の記憶を思い出す事ができなくなっているという事が大きく影響しており、当時の記憶を思い出すとヤバいと無意識に判断して脳が思い出さないように記憶の奥底に追いやっているのだろう。
それでも俺の事は本当の父親ではない事、本当の両親は魔物に殺されたという事は理解しているみたいである。
「あ、あの……もっと鍛錬して今よりも強い敵を倒しに行きたいですっ!」
その為か壊れていないというだけで何も影響はないという訳ではなく、異様なほどに強さを求めるきらいがあるよだ。
恐らくではあるものの、力無き者は力ある者に奪われるという弱肉強食という自然の掟が深く刻みつけられているのだろう。
その為もう二度と大切なものを奪われない為にも一日でも早く理不尽な暴力を跳ねのけられるほど強くなりたいという思いが伝わってくる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます