第13話 俺の養子にしようかと思います
◆
「どうやら命に別状はないようだな……」
「えぇ、そのようですね」
一旦幼い少女を今俺たちが暮らしているお爺様の屋敷に連れて行き、回復魔術を行使して俺のベッドに寝かしている所である。
ついでに少女の身体を確認してみたが、特にこれといった外傷や病気などは見受けられず至って健康である事が窺えてホッと胸を撫で下す。
問題は精神面なのだろうが、こればかりは俺達がどうこうできる事ではないので少女自身に頑張ってもらうしかないだろう。
「お爺様」
「何じゃ?」
「この子を俺の養女にしようかと思います」
しかしながら、側で少女を支える事は出来ると思った俺は、早速その案をお爺様に伝えてみる事にする。
「これが男の子であれば跡取り問題などで面倒くさい事になっただろうが、幸い女の子であればロベルトの親であるダグラスも文句は言うまい。好きにするがよい」
「あ、ありがとうございますっ!」
「一応儂からも愚息であるダグラスへその旨伝えておくが、ロベルトからもしっかりと自分の気持ちを伝えておくんじゃぞ? ……まさか、あのロベルトから弱者を救いたいという感情があるとはなぁ……本当に心を入れ替えたようじゃな……無駄に長生きはしてみるものじゃな。お陰で面白い物が見られたわい」
そしてお爺様はそう言いながら俺の部屋から出て行く。
前世の記憶が戻る前は融通の利かない頑固ジジイと思っていたのだが、こうしてみるとお爺様も何だかんだで孫に甘い普通の爺さんだなと思ってしまう。
しかしながら、お爺様の方からもお父様に伝えてくれると言うのはかなり有難い。
あの、俺に甘々なお父様である為俺の願いを断る事は無いとは思うが、お爺様の後押しも加われば正に鬼に金棒であろう。
それと同時に俺はある事を決意するのであった。
◆ダグラスside
久しぶりに息子から手紙が来た。
正直な話しをすれば毎日手紙を送って欲しいものなのだが、息子の立場からすれば親が過干渉というのも鬱陶しいものだろうし、それは私自身が良く知っている。
妻も私と同じように息子からの手紙を待ちわびていたようで『早く読みましょうよっ!!』とせがんでくるので、早速息子であるロベルトからの手紙を読む事にする。
すると中には息子からの手紙の他にお父様の手紙も入っているようだ……お父様の手紙は後回しで良いだろう。
そして、お父様の手紙は机の端に寄せて早速ロベルトからの手紙を妻と一緒に読む事にする。
「…………は? 拾った娘を養女にする……だと?」
「あらあら、孫ができちゃいましたねぇ? どんなかわいい娘なのかしら?」
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