第11話 その理由に納得する
血の匂いと何かが燃える匂いが同時に発生する条件など限られている為、俺はマリエルと共に匂いがする方向へ急いで向かう。
お爺様には危険な事には首を突っ込むなとは口酸っぱく言われていたのだが、隠れてダンジョンに潜っていた時点で今更だろう。
ちなみに、お爺様は俺がダンジョンに潜っている事に気付いているような気もするのだが、藪から蛇を出す行為をするつもりは無いので向こうから聞かれない限りはこちらから言うつもりはない。
そんな話はさておき、匂いのする方向へ行けば行くほど匂いは強くなり、それと共に俺の予感が当たっている確率も上がってくる。
「…………酷い……っ!」
そして、匂いがする現場に行きついた時、マリエルは怒りを隠そうともせず呟く。
その表情は、まるで親の敵に出会ったかのような表情をしていた。
「あぁ、何で人間がこんな所にいるんだ? まさか、こいつらを助けに来たのか? お前ら人間もこいつらのような者達を狩っているのか?」
そこに広がる光景は、魔物が人の集落を襲っている現場であった。
「お、親分。も、もしかしたらこいつ等も狩りたかったんじゃ……?」
そして、親分と呼ばれた熊型の魔物に対してオークが、俺達もこいつ等を狩に来たのでは? と返す。
恐らく山賊などの奪略行為の事を言っているのだろう。
「あぁ、なるほど。お前頭良いな。しかし残念だ。丁度ここにいる者たちは全て狩り終えた所でなぁ……お前たちが楽しむ分は残って無いんだよ。でも、俺達はお前達を狩るという楽しみが増えた訳だっ!!」
「一つ聞いて良いか? 何故こんな事をした?」
「あ? 面倒くさい奴だな。でもまぁ今俺様は気分が良いから教えてやってもいいぞ? こいつらを狩った理由、それは強い奴は弱い奴に何をしても良いからだよっ!! おまえら人間だってそうじゃぁないかっ!! むしろ人間は俺達魔物と違い同種であろうとも狩る分、俺達よりも残虐な生き物ではないかっ!!」
「親分、それ、俺達も同じっすよっ」
「がははははっ!! 言われてみればそれもそうだなっ!! でもまぁ、俺達は人間どもと違い弱肉強食を受け入れているが、人間どもは同じことをしているにもかかわらず、聖人ぶっている分クズが多いからなっ!! そう考えれば俺達の方がまだマシだと言えようっ!!」
「ありがとう。君のその言葉で俺も決心がついた。そしてさようならだ」
「あ? 何を言って……」
俺目線からすれば人間の集落を襲った所で、財産を奪って人里で豪遊できる山賊たちと違い、魔物達にはほとんど理がないにも関わらず、何故そのような事をするのか理解ができなかったのだが、言葉を話せるだけの魔物と折角出会えたので聞いてみると、その理由に納得する。
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