第10話 血と何かが燃えるような匂い
そしてダンジョンにマリエルと入り、魔物を討伐していくのだが、俺は今まで本当に鍛錬などをしてこなかった事が窺えてくる。
確かに、今までの記憶から鍛錬などしてこなかった事は知っていたのだが、心のどこかで『ゲームと同じように初期レベルでも動けるだろう』と舐めていた節があったのだろう。
雑魚だと思っていた敵に対して想像以上に苦戦をしてしまうのだが、それでも倒せない相手ではないのは助かった。
因みにこのダンジョンで沸き出てくる魔物であるのだが、スケルトン型、昆虫型、動物型の魔物が沸き出てくる。
そして今俺がレベル上げをしている場所は基本的にスケルトン型の魔物が出てくるのだが、調子に乗って『スケルトンは旨味が少ないからさっさとダンジョン内部へ行って効率よくレベリングをしよう』と判断して行動へ移す前に一度スケルトンと戦っていなければ、今頃俺とマリエルは死んでいたかもしれない。
この世界はゲームのような世界ではあるもののリアルだという事を身をもって体験し、気を引き締める良いきっかけとなった。
◆
焦らず、慎重に魔物を倒してレベル上げをしていく日々を三週間ほど過ごした。
今では俺もマリエルもこのダンジョンに出現する魔物はボス含めて一人でも難なく倒せるくらいにはレベルが上がって来ているのだが、それでも万が一というものがある為、一人で行動する事はせず二人でレベル上げを行っている。
その間、マリエルとも大分仲良くなれたような気がするというか、俺へ向ける視線がどこか怯えているような視線をしていたのが今はむしろ好意的に思っているような視線を向けてくるようになっただけでもかなりの進歩であろう。
ここで慢心せずに、よりいい関係(いい上司と部下的な関係)になれる未来が来ればとは思う。
そんな事を思いながらいつもの朝の鍛錬を、いつの間にか加わるようになったマリエルと共に終え朝食を食べ終えるといつものようにダンジョンへと向かう道中、マリエルが険しい表情になり立ち止まる。
「……どうした?」
「微かではございますが血と何かが燃える匂いがします」
「…………確かに、集中してみれば感じ取る事ができるな」
そして俺はマリエルに問うと、マリエルは血と何かが燃えるような匂いがすると言うので、鼻に魔力を込めてみれば確かにマリエルの言う通り血と何かが燃えるような匂いがするではないか。
そんな俺にマリエルは何かを求めるような視線を向けてくる。
「……分かった。今日の鍛錬は一旦中断して一度この匂いがする場所まで行って見よう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます