第9話 ゲームで得た知識
そして案内された部屋へ行き、実家から持ってきた短剣と魔杖、そして着替えを置いて夕食を取り風呂に入ってその日は終わるのであった。
◆
翌日、俺は太陽が昇る少し前に起きると簡単な運動と筋トレ、そして素振りをしてからお風呂で汗を流して朝食を取る。
マリエルには朝の鍛錬については話していなかったのだが、何故か汗を拭くタオルと水分補給用のドリンクを持参して見学してくれていた。
その事からもマリエルはかなり優秀な使用人である事が窺えて来るのだが、俺はそんなマリエルの事を使えない等と罵っていたのだから、どっちが使えないんだよと過去の自分を振り返って思わず呟いてしまう。
そして朝食を取った後は早速ゲームで得た知識を使ってレベルを上げていく作業に入る。
勿論、マリエルも一緒にレベルを上げていく。
因みにこのレベル上げで狩った魔物達はストレージに保管して冒険者ギルドに卸す訳だが、駄々をこねて帝都の冒険者ギルドで冒険者登録をしておいて良かったと安堵する。
別に俺一人で冒険者登録ができない訳では無いのだが、実技やら筆記やらで二日潰れてしまうので、その手間が省けたのはかなり大きいだろう。
そのレベルを上げていく作業なのだが、お爺様が住んでいる別荘から少し離れた場所にある森林の奥地に寂れたダンジョンが、ゲームの通りであるのならば有るはずなので確認すると、ちゃんとダンジョンがあったので一旦はこのダンジョンでワイルドウルフを一撃で討伐できる位には上げていく予定である。
このダンジョンの特徴なのだが、初心者がレベル上げように作られたとしか思えない作りになっており、出現する魔物は弱いのに経験値が多く、そしてドロップするアイテムも冒険者ギルドでの買い取り額が序盤にしては高い物が多いのだ。
その事からも分かる通り、俺がお爺様の元へ行くと言った理由はこのダンジョンでレベル上げをする為であったのだ。
「しかし、こんな場所にダンジョンがあったなんて……」
「……内密に頼む」
マリエルは俺の側仕えメイドとして仕える事ができるという事はそれなりの戦闘力も元々持っており、帝国内のダンジョンも把握しているのだが、そのマリエルでさえもこのダンジョンを知らなかったようで不思議そうにつぶやく。
しかしながら『ゲームで得た知識だ』と言える訳もなく、一応契約魔術で俺の事に関するモノは他言無用という契約を結んでいるのでこのダンジョンの存在が外に漏れる事は無いので『秘密にするように』という意味ではなく『この話題はここで終わり』という意味でマリエルに内密でと返事をして誤魔化す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます