第8話 すべては自分のせい
そう震えながら話すマリエルの姿を見て、俺は今までどれだけ最低な人物であったのかを再確認すると共に、より一層生まれ変わる事を誓うのであった。
◆
「フン、やっと来たかこのバカ孫が」
そして俺達はあの後何事も無くお爺様の住んでいる別荘にまでたどり着く事ができたのだが、お爺様からでた第一声がこれであった。
いや、確かに慕われているとは過去の記憶からも思ってはいなかったのだが、孫が一大決心をしてここまで来たのだから、もう少しこう、なんというか温かな出迎えがあるのではなかろうかと思っていた俺が浅はかであったと痛感する。
そもそもこのお爺様の実の息子であるお父様が煙たがる程の人物である事がどういうことなのか、ちゃんと考えていればこの対応も想像できていただろうが、それでも孫という存在は無条件で甘やかしたくなる対象ではないのか? とも思う訳で……。
とりあえずこの第一声でお爺様がどういう人物と言うか、堅物というか偏屈というか何と言うか……とにかく、何となく理解する事はできた。
早い話が孫だからと言って甘やかされるような事は一切ないとみて良いだろう。
まぁ、元々甘えるようなつもりで来ていないし、それなりの覚悟を持ってここへ来ているので関係ないと言えば関係ないのだが……こう、自業自得とはいえ一抹の寂しさのようなモノは感じてしまう訳で……。
「お待たせしてすみません。今日よりお世話になります──」
「よいよい。今さら自己紹介など意味は無かろう。それこそお主が今までしでかした事もちゃんと分かっておるわ。あのバカ息子の下で自由をはき違え、周囲にかなり迷惑をかけてきたようじゃな。あのバカ息子も甘やかすのと愛情を注ぐ事をはき違えおってからに……。そういう意味で言えば、お主はバカ息子の被害者とも言えるのう……」
「いえ、お父様は何も悪くないです。全ては俺の至らなさが招いた結果。それを誰かのせいにするつもりはございません」
そしてお爺様は俺がこんな風になってしまったのをお父様のせいにし始めたので、俺は『すべては自分のせいである』と言い返す。
確かに、お爺様の言っている事にも一理あるのだが、だからと言ってそれを俺が言い訳にしていい理由にはならないからな……。
「フン、多少はマシになってはいるようだな。まぁこれからはここで好きに過ごせばいい。ただし、好きに生きるというのをはき違えるでないぞ?」
「は、はいっ!」
「ではお主がこれから過ごす部屋へと案内する。ついて来い」
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