第2話 中二病といわれる黒歴史



 その事に気付くと俺は急にやる気が無くなり、無気力感が襲って来る。


 ゲームでは確か、婚約者から婚約破棄をされた後に逆上して襲い掛かって普通に返り討ちに合うパターン、その後にある夏の長期休暇で、自業自得の癖に復讐しようとして返り討ちに合うパターン、自暴自棄になり自殺するパターン、主人公に襲い掛かり返り討ちに合うパターンなどなど様々なパターンが、ゲームの進行具合や選択肢によって選り取り見取り多種多様に、俺の死に方が用意されていた。


 そこまでこの元婚約者の事が、逆切れして襲い掛かってしまう程好きだったのならば何故嫌われてしまうような事を俺はし続けてきたのか……今まで俺がしでかしてきた行為を思い返してみても、そのどれもが婚約破棄されても仕方がないと思えるくらいにはクズな行為であると、前世の記憶を思い出すと同時に価値観もまた上書きされた今の俺であれば判断することができる。


 というか、前世の記憶を思い出さなければ俺のしてきた行為の数々が最低なものであったと理解できなかったとか……終わってんな、俺。


 そして今までは自分の事を天才だのなんだのと思っていたのだが、それもまたただの勘違いというか、根拠のない万能感からくる勘違い、いわゆる中二病といわれる黒歴史的な評価を自分自身にしていた事に今さらながら恥ずかしくなってきた。


 それお思うとむしろ婚約破棄された事よりも自分は凄いんだと学園で偉ぶっていた事の方が精神的にキツく思ってしまう。


 はぁ、明日から学園に行きたくない。


 幸か不幸か一週間後から夏季長期休暇があるので、少し早めに学園を休んでも良いのではなかろうか?


 問題はその『一週間早く休む為の理由』を考えなければならない事である。


 おそらく学園側は、間違いなく問題児のレッテルを貼っているであろう俺が一週間早めに休暇へ入る事についてはむしろ大賛成であろうが、俺の親がそれを許してくれるとは思えない。


 俺がこんな性格になっているように躾に厳しい訳ではないのだが、融通が利かないと言うかなんというか……。


「あ、そうだ。良い事を思いついた」


 うんうんと、今まであまり使って来なかった脳みそをフル回転させながら考えていると、俺は一つの方法を思いつく。


 そして思いついたら即実行だ。早速今日の晩御飯時に確認することにする。





「あの、お父様に相談があるのですが……?」


 数時間後、使用人たちが調理された料理を席に着いた俺達の前に運んでいる時、俺はお父様に声をかける。

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