20.どうやら、決着をつけたようです
「ど、どうして……?」
そうつぶやいたのは、誰だっただろう。
みんな今起きたことが受け入れることができていない。
もちろん、私もだ。
「どうして?シギンを討ちとることが目的だっただろう?」
地面に崩れ落ちたシギンを眺めながら答える。
「君たちがシギンの気を引き付けていたおかげで、こうも容易く実行することができた。礼を言う」
こちらを向き、毅然とした態度で礼を言う。
「だ、団長……」
シギンが手を伸ばし、学園長のズボンの裾を掴む。
しかし、学園長は一瞥もせず、こちらに話しかける。
「今、地上では、王を廃するようシュルツたちに動いてもらっている」
その姿は、何か無理をしているようにも見えた。
「……学園長?」
アリスが耐え切れず、話しかけた。
「なんだ?私がここに来れた理由か?シギンのブレスレットを複製した。ただそれだけのことだ」
「そうじゃありません!」
「違うのか?なら、シュルツたちが動いていることか?それなら、君たちには申し訳ないが、内密で協力してもらっていた。彼らがゲームの主要メンバーであることを聞かされた時から、考えていた。彼らの力が必要になる場合もあるだろうと。必要になったのは、単純な力ではなく、政治的な力の方だったがね」
「違います!」
「ではなんだ?」
「シギンを見てください!」
「なぜ?」
「な、なぜって……」
「こいつは、自分の欲望を満たすために罪を犯した。罪人に掛ける慈悲はない」
「……それでも、少しだけ話したり」
「――見てみろ。こいつはこの瞬間も悦に浸っている。私が王を廃すと言った時からだ。どうせ、クリストン王を廃した後に私が次の王になるとでも思っているのだろう。自分に都合のいい言葉しか聞いていない。……それほど愚かになったのだ」
「……」
「もういいだろう。短剣に回復制限の魔法と回復魔法を仕込んだ。今のこいつは死なないようになっているだけだ。まだまだしゃべってもらうことがあるからな」
そう言うと、シギンを抱え転移していった。
五分ほどたっただろうか。
アリスがこちらを振り向いた。
「私たちも戻ろうか」
「……そうだね」
こうして、戦いはあっけなく幕を閉じた。
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