18.どうやら、ゲームとは違っているようです
「やあ、お待ちしていましたよ」
浮遊感が拡散し、目を開けるとドームのような広い空間の真ん中に、シギンが立っていた。
キンッ――
シェルリィの一太刀が、シギンに防がれる。
深追いすることなく、私の隣に戻ってきた。
「待ち伏せされちゃってたかー」
「隊長との会話も聞いていましたよ。まったく、可笑しくて腹がねじ切れると思いました」
シギンのブレスレットだからか。
それにしても、腹がねじ切れるほど笑っていたとは。
そのままねじ切れていればよかったのに。
「じゃあ、混乱もなにもしてないんだ」
「まあ、会話が始まるまでは戸惑いましたけどね」
……それはそうか。
「ねえ、もうやっちゃおうよ」
シェルリィが我慢できない様子で言ってくる。
先程の攻撃を防がれたのが、火をつけてしまったのか。
戦闘民族か?
まあ、シェルリィの言うとおりなんだよね。
私の雰囲気が変わったのを察したのか、シェルリィは嬉しそうに刀を構え、アリスも扇を開く。
私も姿勢を低くし、刀を構える。
「――ボルケーノ!!」
アリスの最上級魔法の発動と同時に、逃げられないようシールドでシギンを囲む。
「3、2、1!」
これで終わるはずがない。
アリスが魔法の消えるタイミングをカウントで知らせてくる。
「「狂い咲き!!」」
挟み撃ちで、シギンの首を狙う。
――はじかれた!?
手元に硬い何かにはじかれた感触が響いた。
追撃が来ないうちに、魔法職のアリスを守るように後ろに下がる。
「1対3なんて、ひどいじゃないですか」
言葉とは裏腹に、焦る様子もなくニヤニヤと笑っている。
両手には、ナイフが握られていた。
「今度は私でいいですよね?」
シギンの姿が目の前に現れる。
とっさに刀で首を守る。
キンッ!と耳元で金属がぶつかり合う音が聞こえた。
「まあ、これぐらいは防いでもらわないと」
先程と同じ位置に立っているシギンが、呟く。
もちろん、ゲームでは何回も倒した。
攻撃パターンも頭に入っているし、体にもしみついている。
だけど、こっちは現実だ。
ゲームのパターンから外れてくるだろう。
軽く深呼吸して、落ち着けていく。
「それでは平等にしましょう」
シギンの両側に魔法陣が広がる。
早速、ゲームとは違う行動にでた。
中から大きな刃物を持った猫と頭部を失った白銀の鎧が出てくる。
「……デスチョッパーとホーリーデュラハンね」
「首切り猫とデュラハン一緒に出すなんて……性格悪いのがにじみ出てるよね」
アリスの声に頷く。
あいつ性格わるいよねー。
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