17.どうやら、敵陣に乗り込むようです
計画の要である、ダンジョンの最奥へ転移するための調査艦がシギンのものであることが確定した今、安易に動けなくなってしまった。
使ってしまうとシギンにばれてしまう。
「……とりあえず学園長に連絡するわ」
「そうだね」
学園長から預かっているブレスレットに意識を向ける。
これでナノマシンが私の意図を読みとってくれて、学園長へ連絡できるはずだ。
「私だ」
学園長の声が部屋に響く。
つながったことにホッとした。
「……問題が発覚しました」
「そこがシギンの船だということか?」
知っていたのか。
「私が気づかないわけがないだろう」
「……このまま装置を使えば、シギンに気付かれてしまうことも計画のうちですか?」
「もちろんそうだ。君たちには『ダンジョンの最奥へ向かい、直接シギンを討つ』と伝えたはずだが?」
「はずだが?ではありません!」
「それに、君に渡したブレスレットもシギンのものだ。それで調査艦に入れただろう?つまりその時点でシギンには気付かれている」
「『シギンの混乱を誘う』とは奇襲するという意味ではなかったのですか?」
「正しくは『普段の私がやらないことを実行し、シギンの混乱を誘う』だ。君の脱獄を手助けし、アリス君とシェルリィ君と一緒に調査艦へ送るということは、普段の私ならしないだろう」
「……そういう意味だったんですね」
「最初からそう言っている。それでは、任せた」
その言葉を最後に、連絡が切られた。
「気付くわけないでしょ!なに、あの『最初からそう言っている』って!分かるか!」
「ま、まあ、クロちゃん、落ち着いて」
「学園長を先に切る?」
「シェリちゃんも物騒なこと言わないの!」
あたふたするアリスを見ていたら落ち着いてきた。
シェルリィ、ステイだ。
「学園長の話だと、私たちがここに来た時点でシギンにはバレてるんだよね?」
「そうみたいね。ここにいる必要もないし、さっさと行きましょう」
ブレスレットを操作盤にかざす。
すると、目の前にダンジョンの全体図が浮かび上がった。
その中で一番下の層をタッチする。
足元に魔法陣が広がり、浮遊感が体を包む。
いよいよだ。
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