このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(604文字)
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(433文字)
もし、どのようなことがあろうとも、夫婦として深く続くことのできる関係があるなら、このようなプロセスを経て成り立つのかもしれない。 他人が口を挟むことではなく、男と女が互いに悟ればそれでいい。 拝読させていただいて、恋路に羨望を抱いてしまうほどの物語でした。 大人の初恋、短絡的な言葉で申し訳ないのですが、私はそう感じています。
戦争という舞台装置をここまで「合理的」に使うというのはひとつ、この物語の突出したる点なのではないかと思います。どう語っても、不倫肯定か戦争肯定になってしまいそうなので拙い言葉で多くは語れませんが……この二人は、一度は道を逸れたのかもしれません、しかし、その過程は、真っ当な夫婦になるための正しい筋道だとしか私には思えなかったのです。私はこれを、純愛小説と呼んで差し支えないと思っています。
様々な事情によって、幾多の愛の架け橋があって。俺の話も聞いてくれ!と思える人は、なんて幸せな人なんでしょう。
まず文体が読みやすくスラスラと入ってきます。それでいて今のラノベとは違ういわゆる純文学の文体です。それからさらに夫婦の女性視点で物事が動くさまをみるのがとても良いです。オチもいままでの文章を踏まえたうえできちんと着地しています。読んで損なしです。
ㅤ太宰治の「葉桜と魔笛」を想起させるような文体の作品です。近代文学を読み込んでないとこの作品は絶対に書くことはできないと感じました。ㅤ作者の語彙力、作品の構成、どれをとってもハイクオリティ。カクヨム甲子園の中間選考という狭き門をくぐり抜けるのも納得の、美しい物語です。ㅤぜひ、皆さんも五十嵐ワールドに飛び込んで、大人の恋愛を体感してみませんか?