第3話
飲み屋のがやがやした雰囲気の中
若い人間が、一人の同い年くらいの若者に声をかける
年齢は、二十歳くらいであろうか
髪は、ワックスで、上の方へと、とんがって居た
「お前、焼き鳥好きだよな・・・・それはそうとしても
あれなんだよ、こいつ、言って良いか、言っていいよな」
金髪のワックスをかけた男は、Tシャツの中の金色の鎖を、揺らしながら
数人の同じような、若者に、声をかける
男と女が、この席では、同数と言感じであったが、聞かれた本人は、それを自覚できてなどいなかった
「ああ、そうだよ、俺は、あの時生き残ったんだ」
何の話だよ
一人はそんな事を、思いながら
おしぼりで手を拭いている
「ああ、知らないかな栃木32人教室殺し
知って居るだろ、床一面赤い
ああ・・あまり言わない方が良かったかな」
そう言って金髪は、悪そうに、あやまると、運ばれてきた焼き鳥に、胡椒をかけて、にこやかに食べ始めた
「本当なんですか」
一人の女性が、そんな事を言いながら
聞くが
それに対して、答えを濁して、運ばれてきた
ビールを相手に渡して、言葉をうやむやにした
「じゃ、のもう」
金髪は、そう言って、もう何度目かになる乾杯を繰り返した
「お前たち、これからの楽しい人生に乾杯」
吐きそうな、焼酎を、胃の中に、流しながら
焼き鳥から目をそらす
昔から、肉は嫌いだ、だからと言って、ビーガンでもなければ、野菜が好きなわけでもない
ただ、肉についている皮が苦手だし、ミディアムの血も嫌いだった
「しね」
騒がしい中で、その小さな言葉は、誰にも拾われることなく
不機嫌そうな男に対して、誰かが何かを言う事もなく、その飲み会は、消えていった
そのクラスは、ごく普通だ、虐めも少しあるが、それは、かさぶたが、直ぐに治る程度であり
誰かが死ぬことも、また、深い傷を作るほどでもない
自分で立ち直れるほどだ
しかし、それでも、あの事件が起こったのは、何なのだろうか
始め、教師の毒殺ではなかろうと、考えられたが
教師の足をいくら、探っても、その化学教師の足取りに、何処にもそれを、探ることはできなかった
しかし、不審なことはそれだけではない
みな、ぽにっくを起こさずに、机の後ろに、椅子に座って、死んでいたところにもよる
これは、一体どういうことか
体には、そばくされた後はなく
ただ、悲しいぐらいに、その亡骸たちは、椅子に座って居た
生徒たちは、それに関する、事件を起こす証拠を、発見できなかった
ただ、その毒が、何処から来たかは、分かった
お土産である
生ものと言う事もあり、直ぐに食べるという事だったのであろう
それを食べた生徒は、皆、直ぐに死んだと言う事になった
現に、全ての胃袋からは、ある食材が、見つかった
生プリン蒟蒻という
郷土料理のアレンジしたものであり
そこには、血を、溶かす薬品が、混入されていた
しかし、唯一あの現場を、生き残った人間は、残念な事に、保健室にいたので、何があったかは、分からないのである
「それで、君は、何故保健室にいたんだい」
答える事はできなかった
「教師と不倫関係にあったなんて」
だから、言葉を濁した
それは当然である
「はい、調子が悪かったので」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます