第2話

それは、居たのでしょうか

ただ、そこに、存在した私の感情は、始めから存在していない証拠になりえる

私の孤独は、ゴミ箱場で、ニャあと鳴く

その嘘は、私の存在否定につながって居た

「朝礼 おはようございます」

静かな教室は、冷たい空気の中、一人の教師の声により、辺りに、意思を響き渡らした

ただ、それに対して、話す存在は、おらず、ただ、悲しいほどに、ほざいたような叫びをあげるカラスのひなのようなものだ

繰り返す、暴言に、明確な意味はなく、ただ本能に、従った獣でしかない

「着席」

行動を、繰り返すうちに、一人また一人と、その机に、赤い血を吐き出し続けた

それに対する答えを、誰かが出すことはない

そして、それを否定することはない

ただ、嘘が、そこにあり、ただ、嘘が、それを、赤く染め上げる

灰色の雲は、教室中を包み

冷たい視線は、教師の内部の機械化されたハートが、良くの液体により、辷りよく動き続けていた

「佐藤」

こぼれる、液体が、唇から漏れ出し

佐藤の声は、泡となりきこえない

しかし、それでも、何かしゃべろうとしているのであろう

口から漏れ出す唾液は、赤く塗り替えられ

垂れた液体に頬を付けるように、それは、体の苦痛により

腹を抑えて、机に突っ伏す

その液体は、泉のように、漏れ出し

魂の残像とでも言うように

絶え間なく、机の下に、そして、床を赤い皮のように、垂れ流し続ける

その答えを、誰が正すことのできるのであろう

毒は、皆が、飲まされている

つまり、この教室の中で、生き残れる人間は居ない

「工藤」

白目をむいた、その男子生徒は、言葉を発することはできない

ただ、椅子に背を預け

もう垂れることのない

赤い液体を、口の横から流した後だけが、名残のように見える

肌は、白くなりはじめ

その瞳は、色を移さず

白く色あせていた

「あなた方の中で、花一と、いう人は居ますか」

教師の思考は、もう考えの存在を、見いだせずにいた

ただ、そこにいるのは、苦しみを吐き出す

機械でしかない

それは、意味を見出せないし

花一などと言う存在は、ほんの登場人物で、この教室などにはいないのである

「居ないのか この教室に」

この部屋の中に、生存者は、少ない

体躯会計の数人が、毒の中、耐えきれないその生命を、生物を、削る存在を、前に、赤血球を、殺し続けている

「花一 花一」

誰もそれに、反応などしてくれない

ただ、チャイムが鳴り

表の方で、生徒たちが、廊下を出ている

「お前たち、華子を知らないか」

意味が、混濁を始める

毒が、毒の中で、答えを探ろうとしている

それでもまだ、その存在は、意味を、見いだせず、死んでいった

最初から誰も生きてはいない

ころされるためにうまれたそんざいなのだ

「田島」

自分の名前を言った後に、教師は教壇の上で、倒れた

廊下の方で、生徒の悲鳴が上がる

誰かが、何かの解決を、するとは、到底思えない

ただ、クラス32人が、その日無意味に死んだ誰が殺したのか分からない

毒の入手経路も分からない

ただ、教室で、32人が、死んだのである

床を、真っ赤に染め上げて



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