第2話 新築祝いは夕日に虚しく
怪人が暴れた街から少し離れた田舎町、
そこのあるボロアパートでは…
ガチャ ・・・・
メリナ「あの…なんで着いてきてるわけ?」
マキナ「ん…?だって着いてきてって言ってたじゃん…」
メリナ「あれは、クレープ屋までって事で…ってあれ?」
マキナ「うわぁ、ボロっちぃ!」
メリナ「うわぁっ!アンタ勝手に入んないでよ!」
マキナ「お前…こんなボロの収納箱に住んでるのか?」
メリナ「人の家を収納箱って言うなッ!」
マキナ「俺もっといい箱知ってるから……、ちょっと待ってろ、あっ!あとこのバッチ、握ってて!」
そう言うとマキナは家から飛び出して何処かに行ってしまった
メリナ「あ、ちょっと人の話聞きなさいよね…行っちゃった……」
30分後……
メリナはお昼ご飯としてカップ麺を食べようとお湯を注いでいた
メリナ「あのよく分からないヤツ…、の事はほっといて…やっぱりこのメーカーのカップ麺は香りからそそられるわぁ〜」
ワープモード シュンッ
メリナ「あともう少しで食べられ……」
マキナ「よう!いい感じに整地出来たぜ!」
メリナ「あた…アタシ…の…私のカップ麺!どうしてくれるのよッ!あのカップ麺は普通のよりちょっと高いのよ!ってかここ何処なの!?」
マキナ「ここ良い景色が見れるからここに、お前が住む所建ててやるよ!」
メリナ「え!?建てるって、あれ?ちょっと待ってここ見覚えがある……」
メリナは辺りをよく見渡した。
メリナ「ねぇ、もしかしてだけど……ここに山無かった?」
マキナ「おう、あったぞ!でも海の景色が見れるようにしっかり整地したから安心しろ」
メリナ「ア…ン…タァァ…何てことしてくれてるの!?ここのドカ森山って近くの小学校の遠足コースなのよ!?」
マキナ「おう?そうなのか…?なあ、建てる場所はこの辺りでいいか?」
メリナ「建てないわよ!遠足コース奪った挙句その土地に家建てるとかどんな鬼畜よ!」
マキナ「えーー、建てないのか?」
メリナ「建てるにしてももっと他に場所あったでしょ……アンタの建てる家ってのに別に期待はして無いけど、見るだけ見てあげる」
そうしてマキナとメリナは一緒に土地探しをした
メリナ「あ、ここなんかいいんじゃない?」
そこは街にもある程度近い田舎と都会の中間辺りの空き地だった
メリナ「だけど草もぼうぼうねぇー、今日中に建て始めるのは無理かも知れないわ…」
するとマキナは草が生い茂った空き地の前に立つと手を突き出した
マキナ「デリートッ」
瞬間…!空き地中にあった背の高い草達が、まるでホログラムの様に消えていった
メリナ「えぇ!?アンタ何したのぅ?………そういえば、私を突然ドカ森山に連れてきたのにしても…謎の力持ってるわよねアンタ…」
マキナ「ああ、それの事か、プルっ出てきていいぞ挨拶してやれ」
マキナがそう言った瞬間マキナの髪の中から薄水色の小さく丸いぷにぷにしてそうな珍獣が飛び出した
メリナ「うわっ!なにこれ!?でも…………何だか可愛い…」
プル「ぷゆ?」
マキナ「コイツはプルって名前で、小さな頃俺から分離してうまれたやつで言葉こそ俺みたく話せないけど俺達は立派な兄弟なんだ」
メリナ「へー、不思議な関係ね〜」
マキナ「でもコイツ、見たみに寄らずに凄ぇ力持ってんだぜ!」
するとマキナは得意気な顔をして言った
マキナ「さっきのワープだって、草消したのだって本当は全部プルの力なんだからな!」
メリナ「げぇ!?その話の流れだとドカ森山を消したのも……」
マキナ「プルだ」
メリナ「やっぱりそうなのね…」
[この珍獣]
[恐ろしきかな]
[プルプルプル]
Byメリナ
マキナ「でもただ消してるだけじゃ無いんだぜ……それに、正確には消してるじゃなくて取り込んでるんだ」
メリナ「その小さい体にどうやって取り込むのよ?」
マキナ「なにって、体の中は異次元空間になってるんだから小さいとか関係ないだろ……ちなみに俺の体の中も異次元空間だぜ…」
メリナ「それは人間離れしてるはずよ、人間じゃないもの……」
メリナ(なるほどね〜、だから食べる事知らなかったのね、必要無いってそういう事…)
マキナ「なぁプル……今ある素材でここに、この人間の住処は建てられそうか?」
プル「るりぃ!」
マキナ「お!ホントか!さっき取り込んどいて良かったな!」
メリナ「え、プルは何て言ってるの?」
マキナ「いやな、さっきこの星で取り込んだ素材の中に丁度いい素材があっただってよ」
メリナ「えぇ!!ホント?私ったら超ラッキーじゃない.*・゚」
マキナ「プル、じゃあ組み立て頼んだ!」
プル「ぷりゅーーー!!」
プルは高い声で鳴くと高い位置まで飛んでいった
メリナ「一体何をする気なの?」
マキナ「まぁ、見てろって!」
プル「ぷぅぅぅぅぅぅぅ」
メリナ「なんだろうとても必死に踏ん張ってるように見えるわプルちゃーん頑張ってぇ」
プル「ぷぅぅぅぅぅぅぅぷりぃぃーー」
プリッ
メリナ「えっ・・・」
空から何かが降ってきた
それが空き地の中心に落下した途端凄まじいスピードで芽を出すと有名建築家顔負けの家へと成長していった
メリナ「あ、あ、あ、あ…」
マキナ「これぞ、英知の結晶だ!」
メリナ「その英知の結晶、何処から捻り出してんのよぉ!!」
マキナ「でも、結構でかいぞ?」
メリナ「それは、その…見た感じだいぶ豪邸って感じしてるけど……」
マキナ「喜んでくれたぞ!良かったなプルぅ!」
プル「ぷるゆぅーーー!」
メリナ「勝手に片付……まぁいいか…私の為にしてくれたんだもんね…」
そうするとメリナはマキナの肩に手を置いた
メリナ「今日はもう夕方だし帰ろっか…引っ越しの準備は明日するからさ…あっ、アンタ何か食べたい物ある?」
マキナ「食べる!俺くえーぷが食べるたい!」
メリナ「クレープは無いかな…ははは」
そんな事を話しながら歩いているとあっという間にメリナの家のボロアパートに到着した
ガチャッ
メリナ「たっだいま〜まぁ誰も居ないんだけど…今日も疲れた……」
メリナの向けた目線の先にはガラス窓越しに夕日に照らされ虚しさを漂わせる伸びきったカップ麺があった
その場は凍りついた冷えたカップ麺の如く……
メリナ「ねぇ、もうご飯できたわよぅ…」
マキナ「ホントか!これか、早く食べるたい!」
メリナ「どうぞ、食べて良いわよ…」
マキナは伸びきったカップ麺を手に取ると麺に齧り付いた
マキナ「すっごく幸せだ!味!でも、すぐに切れて食べるしにくいぞ…」
メリナ「美味しいの!?…いや、何でもない………あと…すっごく幸せな味の事は美味しいって言うのよ!それと…それは吸い込んで食べる物なの」
マキナ「おいしい、吸い込んで食べる…か」
マキナは言われた通り麺を啜って食べた
マキナ「ホントだ!食べるしやすい!おいしい」
メリナ(こんなので喜ぶなら大抵のものは美味しく食べそうねコイツ…)
マキナ「あ、なんかのぶよぶよの底から水が出てきたぞ!」
メリナ(本来お湯入れて食べる物だからね…たはは…)
虚しいカップ麺もこれなら少し報われたんじゃないだろうか……
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