天体超人ルーレットマキナ

ソラねこ

第1話 俺に命をベットしろ

大宇宙……

そこには詰まるは、

[星、衛星、銀河、冷、熱、愛、力、夢、希望、命 ]

そして!《ダークマター》

そのダークマターに一つ生命が宿りつつあった……

それは宇宙を彷徨い思い行くままに身を任せ、遠く、六千六百十万キロ先の惑星デスカピオンへと向かって移動していった


それから約一万年が過ぎた頃、

惑星デスカピオンでは……


逃げ惑う人々「わあぁぁぁ!怪人が出たぞぉ!」


その街では体長三メートル程の怪人が暴れ回っていた。


そこに怪我した小さな子を助け抱き抱えながら一緒に逃げようとする女が一人


メリナ「なんで、楽しいショッピングに来ただけなのにこんな事になんのよぉ!」


その時、メリナの履いていたヒールの踵が取れた感触がした。


メリナ「ちっ、こんな時になんでいっつも…」


抱いてる子供「お、姉ちゃん…後…ろ」


怪人ギロチン「あぁー刎ねたいなぁあ、そしたら赤いの沢山飲めるしなぁ…」


メリナ「ま、間に…合わない…この子だけでも…」


そうすると彼女は、急いで怪我した女の子の足に破った服を巻き付けた


女の子「おねえ…ちゃん…」

 

メリナ「逃げなさい!!走ってぇ!!」

 

女の子は驚いたように走っていった。


怪人は、メリナに向かって鋸状の腕を振り上げると斬りかかる体制に入った

 

メリナ(あ……私死ぬんだ…でも最後にいい事出来たんだし、よしとするか……でも、もっと生きたかったな…)


メリナ「もっど、いぎたかったよぅ………」


謎の声「生きりゃいいじゃん…」


その声が聞こえた瞬間、空からとてつもない速度で何かが降ってきて怪人を吹き飛ばした


メリナ「こ、こんどはなに!?また怪人なの?」


謎の少年「お前、いいラックしてんな」


徐々に舞い上がった土埃が薄れてくる


そこには悪魔の様なしっぽを生やした背丈百五十センチぐらいの少年が立っていた


メリナ「うわあぁ!?悪魔の化け物ぉ!」 


謎の少年「ば、化け物って酷ぇなぁ、助けてあげたのにそりゃ無ぇよ…」


メリナ「たす…けた」


メリナの頭にさっきの言葉が蘇る

「生きりゃいいじゃん…」


メリナ「さっきの声アンタだったの………?勘違いしちゃったみたいね、さっきは助かったわ……」


それを聞いた少年は真剣な顔で言った。


謎の少年「まだだ、来る!」


その少年がそう言った途端、周りを包囲する様にトカゲ型の槍を持った怪人が現れた


メリナは咄嗟に靴を脱ぎ捨てると、すぐさま少年の元に駆け寄った。


メリナ「いい、ここは私が何とかするから隙を見て逃げなさい、アンタはまだ若そうだしこれから先いい子だって見つかる……ね、だから行って…」


謎の少年「死ぬ気なのか?」


メリナ「アンタ可愛くないわね…こんな時ぐらい歳上にかっこつけさせなさいよ…」


謎の少年はニマリとニヤけるとこう言った


謎の少年「じゃあ、生き残るか、死ぬか、賭けをしようぜ…」


メリナ「こんな時に何言ってるの!?早くしないと死ぬわよ!」


謎の少年「そしてこの賭けにベットしてもらうのは命だ…さあ、生き残るか、死ぬか、君の命をベットする方の手にベットしますと言うんだ…」


約四メートルはあるであろうそのトカゲ怪人は、すぐそこまで迫っていた。


メリナ「もう、ダメよぉ!逃げ道ももう完全に塞がった!」


メリナ(最期は人助けして、少しでも私の死を悲しんでくれる人が出来ればいいと思ってたけど………)


メリナ「わだしは…君も…誰も…救えな…い」


その時、メリナの耳に少年の声が響き渡った


謎の少年「さあ!ベットすると言え!」


トカゲの怪人が槍の武器を振りかぶった。


メリナ「ベットするわ!!!」


謎の少年「確かに受け取った!」

ルーレットモード

攻撃方法 ハートスタンプに決定しました


謎の声と共に少年の前に大きなハンマーが

出現し、少年がそのハンマーを振り下ろした途端、周りにいたトカゲの怪人達が血を吐きながらバタバタと倒れていった


ゴゲーーーッ


バタ バタ


謎の少年「ほら、賭けはお前の勝ちだ、俺たち二人とも生きてる!」


メリナ「あ、ホントだ……」


メリナはあまりの展開に呆然としていた


謎の少年「って事で、倍々っ!」


そう言うと、メリナの目の前にハート型のクリスタルが現れると少年の方に飛んで行き、そのままスっと彼の中に入っていった。


メリナ「なにそれ?あとアンタ何者?」


謎の少年「俺の名前はマキナ、ホールハートを集めいずれ宇宙の魔王になる男だ!」


メリナ「魔王ぉぉぉ!?」


マキナ「おう!正確にはまだだけどなっ」


メリナ「そ、そうなんだ…じゃあそのホールなんちゃらってのは何なの?」


マキナ「あぁ、これか?」


そう言うとマキナは体からホールハートを取り出して見せた


メリナ「うわ!体からなんか出した!」


マキナ「ククッ妙な言い方するなよ、これはばっちい物なんかじゃない、それにこれお前から出たホールハートだぜ?」


それを聞いたメリナはすぐさま自分の心音を確認した


マキナ「心配しなくても心臓じゃねえよ、

これは言わば極限状態から開放された事による安心感や感謝の塊だ!」


メリナ「安心感の塊?んー…確かにアンタにハートが入った瞬間、暖かい気持ちがスっと消えて呆然としちゃってたかも……」


マキナは、メリナが理解したのを見ると、スっとホールハートを体に戻した


メリナ「そういえば、ホール…ハート…?を集めて魔王になるとか言ってたけど……何か魔王になる為に必要な物って事?」


マキナ「あまり、言いたくは無いのだが、実はホールハートを集めると、集めた数の大きさにあった願いを叶えてくれるという力があるんだ…」


メリナ「願いを叶えてくれるのぉ?!」


マキナ「声デケェよ!」


そんな二人の話に聞き耳立てる奴らが居た


手下のネズ「なぁ旦那ぁ、今の話聞きましたか、何やら願いが叶うとか面白い事言ってますぜ…」


ボンの旦那「これは、臭うなぁ…」


手下のネズ「私のすかしっぺそんなに臭いますかね?」


ボンの旦那「え!お前、こいたの?」


あわわわわわわわ あ 、


ボン 「くっせぇわ コレ くっせぇわ」


ネズ「あ、それ!レコード大賞とれそうですぜ!」


ボン「あ、そう?ワァハッハッハッハ」


メリナ(な、なんだアイツら………)


マキナ「まぁそういうことだ…じゃあな」


メリナ「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」


マキナ「…………、」


マキナは歩みを止めた、


マキナ「なんで着いてきてんの?」


メリナ「まぁいいじゃない…あ、そうそうこの間、街に新しいクレープ屋さん出来だんだけど食べに行かない?私、奢るよ!」


マキナは不思議そうな顔でメリナを覗き込んだ


マキナ「た…べるって、なんだ?」


メリナは衝撃を受けた


メリナ「アンタ食べる知らないって、どうやって生きてるの?」


マキナ「どうやってとか生きてるの?とか言われても分からないよそんな事……」


メリナは驚きつつも優しく教えた


メリナ「食べるってのは、口に物を入れて噛んで味わって飲み込むって事…」


マキナ「あ…じ……、こういう事か?」


するとマキナは先程の怪人が砕いたであろうコンクリートに齧り付いた


ゴリゴリゴリゴリ


メリナ「きゃぁぁぁ!アンタ何やってんのそれ口から出して!」


メリナに言われてマキナはコンクリートを吐き出した。


マキナの口から出たコンクリートはすでにペースト状になっていた。


メリナ「顎の力強!ってか何してるのよ!」


マキナ「食べるをしてたんだよ…」


メリナは呆れながらも、マキナを放っておけない気持ちになった


メリナ「……もう、マキナ着いてきてっ」


メリナはマキナの手を掴むと強引に街の方に連れて行った。


マキナ「ねぇ、どこ行くの?」


クレープ屋の前に着いたメリナは、マキナの問に答えずそのまま注文をした


メリナ「バナナクレープ二つください」


店主「ハイよ、二つね…」


メリナは会計を済ませると、近くのテラス席に座った。


メリナ「……なんで立ってるの、あんたも座りなさいよ…」


マキナ「僕はいいよこれからホールハートを集めないといけないから…」


そうしてそのままその場を去ろうとした、マキナの手をメリナは勢いよく引き止めた


メリナ「もうすぐだから…」


ピロピロピロッ


店いっぱいにクレープが完成した合図が

鳴り響く…


メリナ「ほら来た!」


完成したクレープを受け取るとテラス席に戻った


マキナ「ねぇ、そろそろ行きたいんだけど…」


メリナはそう、うだうだ言い続けるマキナにクレープを押し付けた


マキナ「なにするんだよ!口に変なのが付いた……何だこれ!?この白いフワフワ口の中で幸せが溢れる感覚がある!」


メリナ「それが、味ってものよ」


マキナ「味!これが味!!」


マキナは産まれて初めての体験に心躍らせクレープを口いっぱいに頬張った。


メリナ「食べるの意味、分かった?」


将来の宇宙の大魔王マキナはまた一つ新たな感覚幸せの味、を覚えた……

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