第1曲 初めまして。

『試験合格者は受験票等の書類を持ちメインホールへお越しください。』


アナウンスが流れると前へ歩むものと後ろへ歩むもので分かれはじめた。


天 『ふふーん!また学校一緒やね獄〜笑』


獄 『まぁ俺がいないとお前は他人に迷惑かけるし一緒でよかったな!笑』


そんなこんなで無事試験を合格しエデンの園の学生になった2人は言われた通りメインホールへ向かった。


道中には色とりどりな人が共に前へ向かっており2人は足を進めるたびに合格の実感と喜びが湧いてきたのだった。


-メインホールにて-

集まった合格者の前に1人の老人が出てきた。


? 『え〜皆さん合格おめでとさん〜!わしはこの学園の楽長をやらされておる【玉城狂爾たまききょうじ】といいます、みんなって呼んでねっキュピン♡』


そう玉城が言うと天は大声で期待に応えた。


天 『きょうちゃ〜ん!!!』


獄 『!?』


それを聞いた獄含め他の生徒達がざわめく。


『あいつあの方が誰だか分かってんのか?』

『常識知らずの恥晒しだ』

『アホだな笑』

『面白い子もいるのね』


これ程ざわつくのには明確な理由があった、このエデンの園の現楽長である玉城は第二次世界音戦を1で終わらせた張本人であり現在の日本の国家戦力であるのに加えて世界の音楽家がこぞって欲しがる【グラミー】の名を持つ唯一の日本人でもある。だからこそ合格者達はきょうちゃんなどと呼んだ天に対してこのような反応を示したのである。


獄もまたこの反応は至極当然の事だと思っていた。


そして、一通りざわついたあとに玉城が口を割った。


玉城 『尊敬だなんだかんだうるさいのぉ〜おぬしら。』


   『わしがなんの取り柄もなかったらおぬしらはあの子のようにわしを呼んでんだろうよ?』


   『よいかひよっこども。世間体を気にする音楽なんかゴミ同然、謳いたいものを歌うそれが音楽じゃ、わしは周りを気にせず自分に従いきょうちゃんと呼んでくれたあの子を尊敬するぞ。』


   『さて、とりあえず挨拶はこんなもんで良いか。』


   『もう一度言うぞ?、他を気にするなを貫け。そうしたらここにいる皆この学園を卒業できるじゃろう、そして今の音楽をも変えてくれるじゃろうな。以上!。』


そう言って何か面白いものを見たかのように笑顔で玉城は幕の奥へ姿を消して行った。


獄 『お前、すげぇな。』


天 『なにがなん?うちはただ言われた通りしただけやもん笑。すごいことなんてなんもあらんよ〜』


獄 『天はあの爺さんのこと知ってるのか?』


天 『ここの一番偉い人なんやないの?それも今知ったんやけどね笑』


獄 『だからか笑』


天 『なんか言いました?笑』


獄 『何もー』


こうして楽長の挨拶を初め学園についての説明やクラス発表がされていき最後に担任の先生発表の時間になった。


『という訳で1-1組を担当する先生は【《大緑林おおろくりん》】先生です。』


『1組の生徒達は先生に従い教室へ移動してください』


1組の先生として名を呼ばれた人は、少し小柄で童顔、優しそうな雰囲気のある男の教師であった。


林 『というわけでみんなよろぴくね〜!!』


獄 『この人あいつと同じ匂いがするぞ、、、』


言われた通り1組の生徒達は林に連れられ教室の方へ足を運んだ。林は道中にある様々な施設をツアー的な感じで説明しながら最終的にエレベーターを使い教室へ向かっていったのであった。


エレベーターは大勢を乗せられるほどの広さをしており林は【1-1】と書かれていたボタンを押した。


林 『この学園の教室は1フロア全部が教室になってんの凄くない?!笑』


  『でも先に言っておくと1年生は地獄だよ〜みんな頑張ってね!笑』


天 『1フロアってやばない獄!!』


  『もしかしたらみんなで寝泊まりとかできるんやない!』


それを耳にした林はみんなに忘れていたかのように言う


林 『あっ泊まるんだよ今日からここに1ヶ月くらい笑』


みんな 『!!!』


それを聞きみんなはざわつき始める


林 『もーこんくらいで慌てないでよ笑、全然大丈夫だって死にはしないからさ〜笑』


みんなが不安で騒いでる一方天はどちらかと言うと期待での意味で騒いでいた。


天 『お泊まりやって!!聞いた!聞いた!!これはみんなと仲を深めるチャンスやん!!』


獄 『俺はそんなんどうでもいいよ今は笑、とっととになりたい。』


天 『お堅いなー獄は、昔はしょっちゅううちに泊まりに来て欲しいって連絡しとったのに笑』


不安やら期待やらで良くも悪くも緊張感が出始めた頃皆は教室についた。


林 『あー後ろのドアは2組のフロアに繋がってるから入らないでね。まぁ身分証なきゃ入れないから言う必要ないんだけどね』


だだっ広い教室の壁には各個人の名前が書いてある扉が付いており、他には風呂やキッチン、練習室などの名が書かれた扉があった。そして教室の真ん中にはもちろん椅子と机が立ち並んでいた。


林 『とりあえずこの先の説明はさておき、小一時間くらいお友達作りターイム!!』

  『みんな僕の持ってる紙をランダムでとってその番号が書かれた席に座ってね!』


林がそう言うとみんなは順番に紙を引いて行った。


天 『えっとーうちは、、、10番!!え、受験番号と一緒やん笑笑』


獄 『俺は18番か、俺も受験番号と同じか』


林 『2人とも運が良いね〜さぁさぁ座って座って〜』


そして、最後の生徒が紙を引きみんな席に着いた。


林 『よっし、それじゃ一時間後くらいに戻ってくるからみんな仲良しになるんだよぉ〜』


林はエレベーターで上へ上がって行った


そしてみんなは近くの人と話し始める。


天 『よろしくね〜うち国色天!』


そういって天は隣の女の子に話しかけた


? 『もう知ってるわあなたのことは』


天 『え?もしかしてうちのファン!?』


? 『な訳ないでしょ、メインホールであんな騒ぎ起こしたんだものいやでも覚えるわよ』


天 『え、うちほんとにやばいことしたん?』


?は天に騒ぎの理由をわかりやすく大まかに話した。


天 『え〜!!!あのお爺ちゃんそんなにすごい人なん!?』


? 『まぁ気を損ねてはいらっしゃらなかったから大丈夫だとは思うわ』

  『あっ、失礼まだ名乗ってなかったわね』

  『私は百音色葉ももねいろは

  『これからはよろしくね』


天 『うん!よろしく〜』


天と色葉は時間が経つにつれ仲を深めていった。


-一方獄は-

? 『お隣さんっ!よう!オレは蝶桴打一ちゃうばちだいち!よろしくなっ!笑』


獄に話しかけたのは少しヤンチャそうな男子生徒だった。


獄 『あぁよろしく。俺は地音獄、なんて呼んでも大丈夫だから』


打一 『ふふーん?エレベーターでは友達なんて作らない的な事言ってなのにノリノリジャーン!』


獄 『そりゃ話しかけられたら断れないだろ!笑』


打一 『なんとなくだけどよ馬が合いそうだぜとは!』


獄 『ひとやんか、、笑笑。まぁいいやよろしくな打一!』


打一 『おうよ!』


2人はハイタッチをして挨拶を終えた後は好きな音楽などの話で盛り上がって行った。


時間が予定の1時間へと迫る一方で教室の中一人不安な空気を漂わせていた。


? 〔実に不愉快極まりない、、、こんな戯れごとに何の意味がある、、、〕


林が去って50分が過ぎる頃だった。1人の男子生徒が全員に聞こえるように話し出した。


? 『実に馬鹿馬鹿しい、あの教師もそうだが貴様らは特にぬるいな。そんなのでは世界一のアーティストには到底ならんだろうな』

  『特にそこの女!実に不愉快、聞けばあのお方の名を知らぬなどとぬかしおって。』

  『貴様それでもアーティストか?実は何もできぬ間抜けではないのか?それともあれか裏口入学かなにかか?』


男は天に向かって罵詈雑言を浴びせた。一方的な暴言で天は次第に俯いて行った。


獄 『おい!さっきから聞いてりゃそれは言い過ぎじゃねぇのか?』


? 『貴様になど話しかけておらん、それかなんだ?貴様この女の男か?ならば貴様もこの女と同類のゴミだな!フハハ!!』


それを聞き獄は天を罵られた怒りで手を出しそうになった。


         その時


        ジリリラリリリリリ


時間終了のタイマーが鳴った。


? 『命拾いしたな三流音楽家。』


そして林が帰ってきた、、、

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