第10話

通された部屋は奥に広いが、雑多な物が置かれている。古い家の匂いがする。床はフローリングというより木の板その物だ。長年の使用で通路部分がツルツルになっている。冬が近い日差しは、斜めに部屋の奥まで届いている。

「こういった物に興味があるのですか?」

窓際に近づきながらあの人は言う。棚の上に様々な大きさの鉱物がある。台の上やケースの中、瓶の中で光を反射や吸収、透過させていた。

「その時代や場所、環境、成り立ち、時間に思いをはせるのは楽しいものです。もちろん美しさもある」


しばらくながめていると

「立ち話もなんですのでこちらへ」

と廊下を挟んだ反対側の部屋に通される。


こちらも庭に面している。下半面は懐かしい柄の磨りガラスの掃き出し窓からは、草木の間に門の屋根が見える。  

やけに大きなテーブルの上には、飲料缶が数本置かれている。

「よくわからないので、飲み物は好きな物をどうぞ」

コーヒー、野菜ジュース、果物100%ジュースがある。

これは和菓子は場違いだな。と思いつつコーヒー缶を手に取る。

「さて、何が知りたいのですか?」

あの人が椅子に座る。

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