第6話
確か、ここ。
朝からゴロゴロと遠くで雷鳴が続く。傘をささずにいるとしっとり濡れてくる細やかな雨。昨日から気になり、あの人と話した場所に立つ。何か落とした様だが、見つからずに立ち去った。何だろう。
何かも知らずに探すなんて、あてもない。
だが、あの人と同じ気持ちになりたく周囲を見渡す。不法投棄のゴミと草が入り混じる。
本当に大した事無いものかもしれない。消しゴムとか…。でも、ここで探す事が大事。
傘を地面に置きしゃがみ込む。じわじわと視線を広げていく。やがて雨が上がり、時折り日が差し明るくなったり暗くなったりする。
足が疲れてきたので、少し濡れているがコンクリート部分に座る。じんわりお尻が冷たいが、しょうがない。まぁ、見つからないよな。見つけててもわからないし。
ゆれる草間から川面が見える。草につく水滴も川の流れも、きらめく。きらめく物。
瓶やプラスチック、金属のゴミも光を反射させている。テカリと光るそれは、少し他と違う気がして近づく。何回も期待はずれだったが、それは小さく、丸く、透けていて、渦巻いていた。
なにこれ?これなのかな?そうじゃなくても、美しい。
立ち上がり、晴れ間の増えた空にそれをかざすと琥珀色にシマシマの線が見えた。
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