第7話 脱出経路探し1

「そういえば、あなたの名前は?」


俺は、城の中を探索しながら少女に名前を問いかけた。


「私の名前は……レムリア・アース、レムと呼んでくれると嬉しいな」

「レムか、いい名前だ。俺の名前はソウマだ」

「俺はヴェールド・シュトラウスだ。ヴェルと呼んでほしい」

「ソウマ……ヴェル……うん!覚えたよ!」


レムは嬉しそうに笑顔で答えた。するとヴェルは話を切り出す。


「それで、お前はこの城にずっと住んでたんだろ?ならここからの脱出方法もわかるんじゃないか?」


確かにそうだ。いくら昔に滅んだ城でも何か抜け道の一つや二つはあるだろう。しかし……


「それは無理ね……」

「え?」


俺はその返答に驚いた。そしてさらにレムは言う。


「私はこの城の出口を知らない」

「まじかよ……。何か脱出する方法ないのか?例えば隠し通路とか、秘密の抜け穴とか」

「私はあなたたちが入ってきた入り口以外にもあったけど、あいつのせいですべて崩していったの」


レムは悲しげにそういった。確かに言われてみればそうだな。ここに来るまでの城の中はがれきの山でいっぱいだった。彼女はおそらくこの城の出しか知らないのだ、出口を知っているはずがないよな。するとヴェルが言う。


「ならこの城で何か特別な場所や部屋はないのか?」

「うーん……。あ、そうだ」


レムは少し考えて何かを思い出したかのように言った。


「私の部屋になら……もしかしたら……」


******


「ここよ」


俺とヴェルとレムの三人は、城の中を歩き回りようやくレムの部屋へとたどり着いた。そして俺はその部屋を見て驚く。


「な、なんだよこれ……」


そこはまるでがれきで破損している城の中とは別世界のようであり、なんと部屋には水や植物などが沢山あったのだ。そして俺はその部屋にある一つのベッドを見つけ、それに近づくと驚いた。


「なんだこれ……ふかふかで気持ちいい……」


それはまるで雲の上のような感触がしたベットであった。こんな幸せを味わえるなんて!俺はたまらず寝転びたくなるが、ヴェルに止められた。


「……ソウマ、今はそんな場合じゃないだろ?」

「あ、ああそうだったな」


俺は少し残念に思いながらもレムにそのベッドについての話を聞く。


「このベッドには不思議な魔法がかかっていてね、いつでも一定の気温を保ち続けくれるの」


レムは頬を赤らめながらベッドにダイブした。確かに外はまだ暑いがこの部屋なら適温であった。うー、もう一度このベッドに横になりたい……。今すぐにでも体に巻き付けたいふかふかのベッドと布団……


「この部屋って黒いローブの人物の襲撃の時に崩れたりしなかったのか?だってここって…」

「ええ、その襲撃の時は崩れるどころか傷一つつかなかったわ。この部屋は私が外の

世界で暮らしていた時からずっとこのままなのよ」

レムは懐かしそうに、そして悲しげな様子でそう答えた。


「だったらあの時この部屋で隠れていたらよかったんじゃないのか?」

「確かにそうよ。でも、私の能力のせいで、この城から外に出ることができなかったの」

「能力?それは一体……」


俺がそう質問しようとするが、ヴェルがそれを制止するように言った。


「そのことについては後だ。今は脱出方法について考えろ。それで、この部屋のどこに隠し出口があるんだ?」


俺はレムに向かってそう言った。するとレムは少し考えてから言った。


「実は……わからないわ……」

「はぁ!?お前さっきこの部屋で何か特別な場所とかあるって言っただろ!」


俺は思わずそう叫んでしまう。するとヴェルが俺に言う。


「ソウマ落ち着け。レムも何か訳があるのだろう」

「ええ、実は……私はこの部屋の他の出口を見たことがないのよ……」

「え?」


俺はその言葉に驚いた。そしてヴェルは続けて質問する。


「それはどういうことだ?お前はこの城でずっと暮らしていたんだろ?なら出口くらいわかるだろ?」

「それが……本当にわからないのよ……でも確かにあることは知っているわ」


レムは少し困った様子でそう言った。ヴェルは続けて質問する。


「それは一体?」

「この城の出口には、ある仕掛けがあるらしいの。その仕掛けがなんなのかはわからないわ」

「なるほどな……その仕掛けについて何か知らないか?」

「ごめんなさい、私もそこまでは知らないの」


ヴェルは考え込んだ後、俺に向かって言う。


「ソウマ、その仕掛けについて少し調べてみないか?もしかしたら脱出できるかもしれない」

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