第2話 バッドエンドの始まり(中編)

「……ほんとですか?」


涙目になった神様は、俺の救いの言葉に思わず顔をあげる。

もう、仕方ないよ。呆れるというより許してあげたほうが俺にとってもいいかもしれないに勝ったから。君の神様スマイルに思わずしびれました!!

でも俺はただ許すだけでは終わらないよ。人間は徳がないと生きていけないからね、御恩と奉公という制度もあったでしょ? はい、ここ人生のテスト出ます。


「何をしたらいいですか!?お金ですか?それとも衣服住?」

「そんな焦らないの。ちゃんと教えてあげるから」


いやぁ可愛い。弟のようにかわいいもんだ、このイケメン面め。どうしたらこんな顔が手に入れるんだよ。


「俺の願いを言う前に、ちょっとだけ質問させてもらっていいかい?」

「……?質問ですか?」

「うん、この世界にステータスは見れるようになってるんだよね?」

「そうですけど」

「なら、俺のステータスを見ることはできるかい?」


SGOの世界なら相手や仲間のステータスが見れたはず。SGOでなくても俺の見てきたファンタジー世界なら可能だった。まぁ、ファンタジー民だったら誰でも憧れるよな。せっかく転生できたんだ、拝見と行こうか。


「これですか?」


お、さっそくできたみたいだな。神様は浮かぶフルスクリーンを俺に差し出してくる。ゲームも最初はステータスを神様からもらってたけど同じなんだね。どれどれ。


________________________

名前:ソウマ

種族:悪魔とドラゴンと人間+α

称号:異世界転生者,時を駆ける者

状態:健康

スキル:シャドウ・エクリプス

________________________


「わぁー」


ステータス見た瞬間、何故かシンプルという意外な点に感心を持ってしまった。

もういろんなことにパンクして妙な落ち着きを感じたよ。なんだろう、もうどーにでもなーれ。


……ダメだよ。やっぱ正常を保つんだ。こんなことであたおかになったら今後の人生に影響しちまう。しっかりするんだ、俺。


「あの、何か疑問なところありました?」


神様がきょとんとしながら俺に訊ねてきた。

大丈夫、めっちゃあるよ。一個一個これから質問していくから覚悟しておいてね。


「質問があるけど、答えてくれるかな?」


俺はにっこりと満面の笑みをしながら答えていく。ここで一気に質問したら怖がってしまうかもしれないからね。


「大丈夫です。でも、私は神様ですけど難しいことにはこたえられないですよ?」

「ありがとう」


さぁ、さっそく一つ目の質問と行こうか。


「1つ目。なぜ俺の名前がカタカナなんだ?」


1つ目だとしてもあえて見当のつく質問から。あなたSGO民なのになぜ?とみんなが思うかも知れない。理由としては、ここに転生してきた初心者として改めて確認したかったからだ。SGOは最初の初期設定で個人情報を入力するのだがペンネームと氏名のどちらか選択しなければならない。


当時俺はペンネームの方で楽しんでいたのだが、転生してきた世界線では俺の名前の蒼真ソウマに書き換えられている。それも書き方としてはれっきとしたカタカナ。何か意味があるのかと思い、この質問を最初にしたよ。まぁ、別に不愉快だとかそういう感情はないけどね。


「えっとですね、この世界で生きていくうえで今までのユーザーネームでもいいんですよ。けど……」

「けど?」

「名前を改変したほうが、あなた自身の気持ちの入れ替わりにもいいと思ったんです。それに、前のままだとあなたの名前が知っているほかの人たちから不審に思われたりすることを防止できますし」


なるほどね、ちゃんと神様は考えているんだな。改めて考えてみると、確かに名前が変わると気持ちが新しいような感覚がある。すっきりとした感じ。


まぁ、ここだけの話だが俺にSGOの仲良しの人はいないけどね。一度パーティーに誘われたことあったけど、入ってみてプレイしてみると1対1の対戦ルームでぼこぼこにされた挙句、散々あおって抜けやがった。はっはっはっ、許・さ・な・い・か・ ら・な!?(ニッコリ)うお、血涙だ。


俺が聞きたいのはあと4つ。全部聞くのにいろんな意味を踏まえて長くなりそうだ。

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