第13話 朝礼事件

料理の出来ない彼女が妊娠しました。

勿論おめでたいです。

彼女は女性上司に

「私、妊娠しました」

と、嬉しそうに報告しました。

するとあまり細かい事を気にしない女性上司がこう言ったそうです。

「流産しないとも限らないから、安定期に入るまで、みんなに言わないようにしなさい」

おめでとうの一言もなかったそうです。

料理の出来ない彼女は余程腹が立ったのでしょう。

翌日の朝礼で、自ら手を上げてこんな発言をしました。

「私事で恐縮ですが、このたび新しい命を授かりました。それを昨日〇〇さんに報告した所、おめでとうの一言もなく、ただ流産するかも知れないから、安定期に入るまでみんなに言わないように、と大変心無い言葉を言われました。ですが、私はそれは違うと思います。安定期に入る前だからこそ、力仕事等、皆さんの協力が必要です。繰り返します。私は妊娠しました」

あまり細かい事を気にしない女性上司が、アンタ言うの?って顔で見ています。

妊娠した彼女は

「〇〇さんの娘さんが妊娠した時に、おめでとうの一言もなく、流産するかも知れないから安定期に入るまで人に言わないように、と言う人がいたらどんな気持ちになるかお考え下さい」

と、物凄くはっきりと言い切りました。

あまり細かい事を気にしない女性上司は、ただ黙っていました。


物凄〜く殺伐とした空気の中、朝礼は終わりました。


(明日に続きます)

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