4話 人生初デートは兄妹で
いつもよりだいぶ文字数多いです。
あの後はソファーに寝っ転がって怒られたり、スマホをいじったりしているうちに、気づけば夜になっていた。自分の部屋に行き、いつもより高く感じるベッドに寝転がっているうちに、眠気が来る。(朝起きたら戻ってるといいな…)
そんなことを思いながら、気づけば眠ってしまっていた。
◆
朝起きたら戻った!!…なんてことはなく、見慣れない姿の僕が鏡に映る。やっぱり夢じゃない…よね…。
そういえば…気にしてなかったけど服が凄くブカブカだ。ズボンに至っては気を抜くとすぐ、ずり落ちてしまう。
うーん…と、鏡に映る自分の姿を眺めていると、扉が勢い良く開く。おそらく瑠奈だろう。
「お兄ちゃ…起きてたんだね?朝ごはん出来てるから早く降りてきてね。」
そう軽く言うと、手招きの仕草だけをしてから
1階に降りていった。
昨日の今日なのに妙に素っ気ないな…と違和感を感じながらも瑠奈の後に続いて、1階、リビングに降りていくことにした。
◆
朝食を食べてから歯磨き、着替えを済ませてリビングでダラダラしているとお母さんが近づいてきた。
「未来、そんなサイズの合わない服でこれからも過ごすつもり?やっぱり今の体に合うサイズの服が無いと駄目よ?今日にでも瑠奈と一緒に服を買いに行きなさい。」
「なんで瑠奈となのさ…?服ぐらい1人でも買えるよ…?」
「未来は女性物の服とか分からないでしょ?
それに貴方ファッションセンスないじゃない。」
軽くディスられた気がしたが…けど男物の服じゃダメなのかな…?
「そもそも女物を買う必要あるの?男物のサイズが小さいやつとか…」
すっごい睨まれる。そんなに女物着て欲しいのかな…
女性用の服を着るともう男の僕では無くなる気がしてちょっとやなんだけど…
「わ、わかったよ…でも瑠奈の予定とかもあるでしょ?本人に聞いてみるよ。」
「やっと念願のお兄ちゃんとのデートなのに
自分の予定を尊重する人なんて居ないよ。」
いつの間にか近くに来ていた瑠奈が話に混じってきたんだけど…でえと…?ってあのデート?聞き間違いだ
とは思いつつも、念の為聞き返してみる。
「で、でえと…?」
「うん。デート。」
「…デート…デート!?」
聞き間違いではなかったようです
◆
何故か妹とデート(笑)に行くことになった。
しかも僕にとっては人生初のデート。(瑠奈がどうなのかは知らないが)
デートをする。そこまでは1万歩…いや3万歩譲っていいとして…
瑠奈の古着を着させられている…なんで?
瑠奈
「女の子なんだから可愛い服を着なきゃダメだよ!」
だそうだ。いや僕はおと(以下略)
服はせめて着る時の抵抗が少ないヤツ。そう条件を決めたらミニスカートを出されたので却下した。
最終的に、ちょっとサイズが合ってない大きめの
うさぎ耳?が付いたパーカーとホットパンツになった。
これはこれで抵抗が大きい気がするが、スカート…それもミニスカートよりはマシなので素直に着ることにした。
◆
学校は東京のものに通っているものの、家は神奈川の田舎の方にある。当然近くに服屋は全くと言っていいほどないので、家からバスで20分ほどの位置にある、この辺じゃ1番大きいショッピングモールに行くことになった。
バス停で列に並んで待って居るのだが、今までは瑠奈の事を見下ろせていたのに、今は見上げないと瑠奈の顔が見えない。そんな身長差のせいなのか、自分より前に並んでいる瑠奈の背中がとても大きく見える。
そんなことをぼーっと考えながら眺めていると、遠くから目当てのバスが来たのが見えた。
瑠奈、僕の順に料金を支払ってから中に入っていく。
あまり混んではいなくスムーズに席に座れたのだが、
2人用座席のため少し気まずく感じ、瑠奈は大丈夫かな?と、横に目をやると呑気にニヤニヤしている瑠奈が見えて(相変わらずだな…)と安堵した。ついでに頬を軽くつねってやった。
最初のうちは外の景色を眺めていたのだが、だんだんと眠くなってきて、瑠奈の肩に寄りかかるようにして眠ってしまった。
◆
瑠奈に体を揺さぶられて目が覚める。
どうやらショッピングモールに着いたようだ。
目当ての服屋は3階の奥の方にあるため、しばらく歩く。歩いていると、後ろの方から聞きなれない声で呼ばれたような気がした。瑠奈と一緒に後ろを振り向くと、瑠奈と同年代ほどの少女が立っていた。どうやら瑠奈の友達のようだ。ちなみに容姿は整っていて、
髪の毛は肩ほどまでのを三つ編みにした可愛らしい見た目の女の子だった。
「瑠奈ちゃん、おはよう。あれ?そっちの子は妹ちゃん?」
「お!
こいつ外でもこんな感じなのか…
僕の苦手な『陽キャ』の特徴と一致していたから、
兄妹関係じゃなきゃ親しくはなれなかっただろうな…
というか瑠奈は僕のことを『妹』として扱うのに慣れるのが早すぎじゃないか…?
「初めまして、未来ちゃん。私は
未来ちゃん、年齢はどれぐらいなの?中学生とか?」
「え、えっと瑠…お姉ちゃんと同じです…」
やっぱり初対面、それも異性だと緊張してしどろもどろな受け答えになってしまう。
「え?私と同い年!?ちっちゃくて可愛いー!!」
ちっちゃい…
そう言いながら茜さん?が頬を僕の頬にすりすりしてくる。
「でしょ!私の自慢の妹なんだ!」
僕は自慢の兄になりたいですがね…
◆
立ち話もアレだしって事で、茜さんの案によりフードコートで少し早めのお昼を食べることになった。
あの後瑠奈がヒソヒソ話して教えてくれたんだけど、瑠奈と茜さんは同じクラスで、友達になったらしい。
そのまま関わってくうちにお互いの趣味が似てることに気がついて、より距離感が近くなり、そのまま親友へ。と言った感じらしい。
まだ高校に入学してから1ヶ月も経ってないぐらいなのに凄いな…
「未来ちゃんは学校はどこに行ってるの?」
ぼーっとしながらフードコートにある店を眺めていると、茜さんが僕に質問をしてきた。
しまった…そこら辺の設定とか考えて無かったな…
今は元の学校の1年として転入(?)する的な話になってるけど、そもそも現実的じゃないからって
お母さんには断ってたんだったっけ…
どうしよう…と頭を悩ませていると瑠奈が助け舟?を
出してくれた。
「未来は明日から転入してくるんだー」
…?これだとほぼ(元の学校の1年として転入(?))
の道で確定しちゃうんじゃ…
だけど今から違うって言うにも確実に茜さんに
不審がられるだろうし…1年としてやり直すしかないのか…;;
「えー!?本当!?これからもよろしくね未来ちゃん!」
「は、はい…」
しょうがない…こうなれば全力で瑠奈の妹
を演じるしかないもんね。よし!やるぞ…やるぞ…
◆
そう啖呵を切ったのは良いものの…
あの後ご飯を食べながら特技の『コミュ障』が発症
してしまい、茜さんとまともに会話することが出来なかった。そのまま茜さんとは別れて、今は瑠奈と2人で歩いている。茜さんに呆れられてないといいけど…
「お兄ちゃんは本当に…」
ずっとおどおどしている僕のそんな様子をずっと見ていたのか瑠奈が口を開いた。
うーん…瑠奈には呆れられちゃったっぽ…
「…私が居ないと何も出来ないんだもんね!」
呆れては無い…のかな?
胸を張って「えっへん」ポーズをしている。
瑠奈は足を止めてポーズを続けたまま動こうとしない。
「早く行こうよ…置いてくよ?」
「ちょ、待ってよ!」
それから少し歩いて、ようやくお目当てのお店へと着いた。
◆
お店はなんというか…華やかな雰囲気で、
入るのに戸惑ってしまう。瑠奈はお店に着くや否や
一目散に入っていってしまった為、入口で1人残されている。
このままだと最悪迷子になってしまうので、
意を決して入ることにした。中の雰囲気は、外で見た
ものと大方同じだった。
おそらく高校~大学辺りの女性をターゲットにしているのだろう。周りに居る人達はみんな同年代ぐらいである。
先に入って服を見ていた瑠奈を見つけたので、見失わないうちに駆け寄った。
「お!お兄ちゃん来たんだね!こういうのとかどう?」
軽くこっちに手を振ってから、手に持っている服…
これはなんという服だろう…?
「瑠奈、これはなんて服なの?」
「おー気になる?これはねー」
そう言って瑠奈は両手いっぱいに服を広げて、見やすいようにしてくれる。
「オーバーラインのトレーナーなんだけどね?どうかな?下は何にでも合わせやすいからオススメだよ!
…そういえば身長ってどれぐらいなの?」
「身長?170ぐらいだけど…」
「違う違う!今の身体の身長は?」
あーそういう…測ってないなそういえば…
「分からないなー…ここって身長測れたりしないの?」
「多分無理じゃないかな…?じゃあさ!全部試着すればいいんじゃない?」
「おー名案だぞ!」
「じゃあ決まりだね」
そう一言だけ言うと、瑠奈は他にも僕に着させたい
服を選びに行った。
15分ほどで瑠奈は6着ぐらいの服を抱えて戻ってきた
「お兄ちゃん、早速試着しようよ!」
と言うと瑠奈は僕の腕をひっぱりながら、
『フィッティングルーム』と書かれた扉をくぐっていく。何人か先客は居たものの、部屋は埋まっては無かったので、そこからはスムーズに進んでいた。
瑠奈が急に、
『着方とか分からない服あるでしょ?手伝ってあげるよ!』
と、強引に部屋に入ってきた。抵抗しようにも、瑠奈の方が体が大きいため確実に負ける。
戦略的撤退を選び、結局一緒に入ることになった。
◆
瑠奈が持ってきた服は驚く程に全てピッタリ。
どうやったのか聞いてみたが、
「お兄ちゃんと私は心で通いあっているから」
とかふざけた返事しか返って来なかったので、諦めてそれ以上は聞かないようにした。
最初に目をつけたトレーナーを初めとして、他にも
ワンピース?なるものや、制服の上に着るアウター
など、様々なものを選んで買うことにした。
◆
ショッピングは思っていた以上に長く続き、スマホの時間を見ると既に『16:35』になっていた。
この後は特に買いたいものは無いと言うので、帰り道の道中に見つけたパフェ以外は何も買わずに、帰路についた。
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いよいよ次話からは学校編を書いていきますが、
本格的な百合展開は2章から書いていきます。
♡や☆は投稿頻度が3・5倍ほどに跳ね上がります
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