2話 流石に見た目変わりすぎじゃない…?

「なんじゃこりゃー!?」


しばらく叫んだらようやく冷静になってきた。

もう一度鏡に目を向けてみる。…怖いけど

鏡に映った少女は、少し白みのかかった長い髪を背中の辺りまで伸ばしている。…アホ毛も生えてる…

超がつくほどの美少女の瑠奈を見慣れている僕が見ても、同等、もしくはそれ以上の美少女っぷりだ。


「る、瑠奈…どうなってるの…?」


「知らないよ…お兄ちゃんが何かしたんじゃないの?」


ここで騒いでいても無駄な気がして、瑠奈にリビングに行かないか、と提案してみる。瑠奈も納得してくれたので一緒に行くことになった。



リビングに着くとお母さんが洗濯物を畳んでいた。

のだけど、足音を聞いたのかすぐにこちらを振り向いた。案の定さっきと同じようなやり取りが始まった。


「お、瑠奈、未…」


お母さんは姿勢を正してもう一度話し始めた。


「あら瑠奈、そちらはお友達?随分可愛らしい子ね」


あれ?瑠奈の友達だと思われてる?


「ちょっとお母さ…」


急いで訂正しようと声を上げたら、それに被せるように瑠奈が訂正してくれた。


「お母さん違うの、私もまだびっくりしてるんだけど

実はお兄ちゃん、朝起きたらこんなんになっちゃったみたいなの。」


『こんなん』って…それに焦ってるせいか説明が抜けてるところもあるし…案の定お母さんが問いただしてきた。


「えっと…まだ理解できてないんだけど、、その子は未来なの!?…なんで性別が変わってるの!?」


やっぱりそうなりますよね…その後はお母さんが落ち着くのを待ってから、朝食を食べながら話すことになった。



朝食を食べながらお母さんに説明を続けた。瑠奈も一緒になって説明してくれたけど、時間がかかったから案の定朝食のパンはシナシナになっていた。


「……だいたい分かったわ…それで未来。何かこうなった心当たりとかないの?」


うーん…ちっちゃくなっちゃった手をあごに当てながら、必死に考える。

そういえば唯一心当たりがあるとすれば、昨日のあの願い事…は違うね。願った事全く違うもん…。

となると特に心当たりは無いかな…


「うーん…特には無いかなー」


「そう」


妙にそっけない反応が帰ってきて思わず顔を顰める。

そういえば今僕は瑠奈と横並びに座ってるんだけど…

瑠奈ってこんな大きかったっけ…?元々僕は170cmぐらいで、瑠奈はだいたい160cmらしいから約10cm差あったんだけど、今は逆に僕の方が瑠奈に10cmぐらい差を付けられて負けてる気がする。


「これじゃあ未来が妹みたいね…」


お母さんがそう呟いたんだけど…そんなに僕ってお兄ちゃん感ないの…!?思わず僕は不貞腐れたように反論する。


「僕はお兄ちゃんだもん!!」


2人が凄い見てくる…そんなに僕変な事言ったかな?

しかも瑠奈は頭まで撫でてくる…なんで…兄の威厳が…ん?なんか頭で引っかかったような、

そうだアホ毛だ!アホ毛!

そういえばなんでアホ毛があるの!

アニメのようなアホ毛だし!


「ちょっと瑠奈…」


「ごめんねおに…未来ちゃん。そんなジト目で見てこないで。ね?」


「みっ未来ちゃん!?僕は兄だよ!!ちゃん付けなんて女の子みたいじゃん…」


僕がキーキー言ってる間ずっと眺めてたお母さんがようやく口を開いた。


「ほら瑠奈も、いくら未来が小動物みたいで可愛いからって、ちょっかいかけすぎよ?未来も不貞腐れない。ね?折角の可愛い顔が台無しじゃない」


「…小動物!?

そもそも!なんで僕は未来って名前なの!

これじゃ完璧に瑠奈の妹みたいじゃん!」


「そんなことより、お兄ちゃん学校はどうするの?

今までと同じ感じで通う訳にはいかないよね?」


「そんなことって…

まぁ確かに学校どうしようかな、お母さんなんか目処めどとかないの?」


「ある訳ないでしょ?第一こんな意味不明な状況に

なるなんて誰も想像付かないわよ?」


うーん確かにそうだけど…どうしようと悩んでいると

瑠奈が口を開いた


「じゃあ私の妹として1年からやり直せばいいんじゃない?同じ学校なら私がサポートできるよ?」


「いい案って言いたいけど、なんで僕が妹になる前提で話を進めてるの!!」


「未来、諦めなさい。もう一度鏡見てご覧?どう見ても瑠奈の姉ってのは無理があるでしょ?」


「そもそも!僕は男なの!兄なの!

姉でも妹でもない!」


「その姿で男って言われてもねぇ…ね?瑠奈?」


「そうだよお兄ちゃんも諦めなよ!」


「分かった!分かったよ!だけど妹で居るのは学校でだけだからね!家ではお兄ちゃんって言ってよ!」


「分かったよ一緒に学校行くの楽しみだね?」


「今は家!」


まだ朝なのに凄い疲れた…

ん?そんな簡単に1年として登校できるの?

まだ問題は山積みなんじゃ…













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