第25話
今、万感の思いを込めて汽笛が鳴るドリームキャスト。
【少年】…アントニー(マテンロウ)
原作漫画感を大事にした配役。
【ユーディー】…中規模都市の駅前商店街のロシア語教室のロシア人講師(太め)
エキセントリック感のため、適度なカタコトである事が望ましい。
コスチュームは可能な限りテラテラしたナイロン感ある素材、銀髪はウィッグでよい。
【ベテラン刑事】…スタッフか知り合いのゴリラっぽい人
チョイ役だから顔写さずに後姿だけ似てればいいから。
撮影場所はコンテナの並んだ港湾施設に拡大コピーした絵を張った衝立でセット作る。プレステ初期やDSの低ポリゴンソフトの書き割り感あふれるぼやけたドット絵テクスチャみたいなやつ。ていうかそういうの適当にスクショで集めてコピーして。
すぐ撤収できるように。
後ろでワゴンで乗り付けて釣りやってる連中が花火始めて騒いでたりしてもいいから。
そこそこのデジカメかアイフォンでパッと撮って撤収。
もう製作費ねえよ。
【物語背景】
刑期を終えた元・魔王が生を再構築すべしとの意向により、その運命の始まりの時間に戻される。
ある「出会い」の場、港町モスコ。しかしそこに居たのは18億年という彷徨を経た魂の宿る少年だった、少年は「彼ら」を見送り、人知れず彼方の【おかしら】に別れを告げる。
その思いをたった一人の胸に永遠にしまっておくつもりで家路につこうとした時、忘れもせぬ声に迎えられる。
危険を伴う試練から還らなかったはずの、自らの欠損とも言えたその人物。
かつて自分が知りぬいたと思っていた「宇宙の全て」が、たった一つの主観に過ぎなかった事を彼女の存在により理解する。
かつて魔王が試練の旅の先で出会ったものの事は今はまだ語られない。
かつて最初に還った時、
まだ師は不滅の存在に見えた。
その大神殿は光と闇に還元されない豊かな色彩を持っていた。
創造の栄光は残り火を留めていた。
だが還ったのは一人だけだった。
それが何故かは分からなかった。
その後、太陽を呑んだ秘宝は敵となって襲い掛かり、
多くの星が消え、
光は失せ、
凍り、
外部の銀河帝国が起こした荒波が彼を魔王へと変えた。
その戦いもまた長い旅だった、幾人もの仲間があり、滅ぼされて失せた星があり、引き裂かれた愛があり、屈託ない心からの笑いと、臓腑を焼かれるような痛みを遺す死があった。多くの体験から人格を形成されることとなった。やがて手にした秘宝で彼は力を振るった。
(よその銀河帝国との最後のでかい撃ち合いで発動した後もイデが健在で、しかも既に「驚異の旅からの帰還者」であってキリコ・キューヴィーみたいなものと化していた主人公がそれをとうとう扱いこなして無限増殖までさせていった感じの物語を想像してもらいたい。激しい戦いを経て宇宙の支配者にまで成長し、どう「甲斐のあるもの」にできるかという戦いをそこから始めたのだ)
一つの宇宙を支配するところにまで上り詰めても尚、彼は完全ではなかった。
「創造の原型」を研究していた老人が最期に遺した言葉に頷き、
【少年】は天命を生きるべく「真の帰還」を果たす。
人を護る無限の力であるベテラン宇宙刑事は彼方より彼を見守り続けている。
なぜなら、【少年】もいずれ無窮の男となるのだ。
宇宙警察、彼らの時は永遠である。
直径一光日(約259億キロ)の大きさの高次元の構造物で最低でも一瞬で二十個くらいの銀河を破壊し尽くす兵器が更に百兆個詰まった「戦闘銀河」を百八十億所有して全宇宙を制圧してよその宇宙とも戦争やってた国家が毎秒百の百乗個づつ増えてく並行時空まで十八億年間一元支配してた魔王、が、「あの子、ワンパクだけど元気いいしいつか俺の後輩の宇宙刑事になったらいいなあ」、くらいの存在。
どうしてそんな存在になってもまだ「個としての人間」に戻り得たか、と言えば、そもそも最初の動因が存在しなければ「そんな存在」は発生しなかったからである、結局「行為者」として存在するものには絶対にその発展と行為の最初の本源が存在しなければならない、ビッグバンなしに宇宙が無いのと同じに。
知性体として何らかの行為を行っているという事は、その存在には失ってはならない何かがずっとある。もしそれが無いなら、完璧に無為の自然へと融解するだろう。
…という物語背景であるのを前提に、どっかの埠頭で撮られた映像。
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