エリス
「旦那様っ……! 旦那様っ……! 急に
あの日……突然に馬車を飛び降りた旦那様を追いかけて、私は
「あのっ……! ちょっと……失礼します……! すみません、通してください……!」
彼は
「ちょっと……! 変なところ触らないで! もうっ……! 一体、なんなんですか!? この集まりっ!」
高い
「旦那様っ……!?」
そこには背後を幕で
「すいません! 彼らを止めて下さい! 旦那様の腕を離してください……何を
私は
「何だぁ!? こちとら商売の最中だっ! 突然とび出してきた奴が檻にしがみついて離れねーから、集まった客がうちの見世物を見れねーじゃねーか! 金も払わず邪魔しやがって! あんたはあいつの連れか?」
宣伝していた男は、その見世物の
「あの方は
周りの
「おい! お
私はすぐに、解放された旦那様に駆け寄りました。
「旦那様っ! 一体どうなされたんですか? お戻りになりましょう!」
彼らが腕を離した後も、旦那様は
その表情は
「一体! 何をそんなに?」
その時、私は旦那様と同様に、
「これは……美しいわ……」
アレは美しい白髪と艷やかな褐色肌を持つ少女でした……。
世界の多くの国に存在する
それは種族の中で他の者に比べて肌の色が濃い、という事らしいのですが……。
理由は未だによく解っていません……。
違う理由が解らない……という事が
「旦那様! とりあえずは一度下がりましょう! 周囲の者達にも目撃されております! 他国でいざこざを起こすと国際問題になり
私はなんとか旦那様を動かそうとしましたが、旦那様には私の声も届いていないようでした。
「ちょっと〜よろしいですか〜?」
そこへ何やら企んでいるような雰囲気で、
「
今でも思い出すだけで腹が立ちます! あの男のイヤらしい目で、旦那様を値踏みする様な下衆な態度!
ですが……その言葉によって旦那様は、その場は引き下がりました。
「旦那様!? まさか! あの少女を……?」
「アレバドデモ
旦那様は貴族というお立場ゆえに幼い頃から外国との接触の機会も多々あり、それに
周囲の子供は素直に思った事を言ったのでしょうし、子供の頃はそういった周囲の反応にも
夕刻になり、興行が終わった後、我々は
「で〜、旦那あんた
そういった辛い経験による
そして、
「先に、まず結論から言わせてもらうが、あれは
自分と
そこに、あの美しい白髪と言う
「だけどよ、俺もそこまでケチな人間じゃーねー。商売人としちゃ〜、今後も貴族様と仲良くお付き合いができるとなれば〜、それはそれで、なかなかに魅力的なお話だ! で……旦那様に相談なんだがよ、俺達は西の大陸の端のクロノヒトの住むスラムの町から、
頭領はヘラヘラと
「ヅマリ
「
その場で私は
その後、数ヶ月たって、奴隷商人の一人が屋敷を訪れ、少女に逃げられたという話を聞かされました。
あれからもう、一年以上が経ちます。
商人達は全力で
最近の旦那様はまるで、何かに取り
それがエリスには、心配でなりません……。
(
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