SEREN ─ IS A EX-NAMELESS BLACK CAT ─
小桜八重
ボーイミーツガール
シロイカミノショウジョ
月光を
ただひたすらに、先へ、先へ、遠くへ、と。
元々は真っ白なワンピースであったが、所々に生地が
少女は森に入り
ふらつきながらも何とかそこへ歩み寄り、
「ムウゥ……」
小さな胸を優しく撫でて
「本当に許せない……」
全身を
「ここは
少女は身を守るように
この森より遥か遠く西の大陸に、全土をヒトという種族が治める
その南部には肌の色の違いから彼らに迫害され、大陸の南端のスラムへと追いやられた、この少女と同じ褐色の肌を持つヒト、クロノヒトが暮らす。
クロノヒトは極稀に奴隷商人に捕らえられ、彼らの商品として何処かへと売られてしまう事がある。
世にも珍しい純白の髪を持つ少女ならばなおさら、彼らからしてみれば格好の獲物だ。
しかしまさか自身が
少女が森の中を警戒しながらしばらく進んでいると、木々の間から満月がそっと
少し立ち止まり、
──良かった、貧しくて──
一瞬、少女は自分の
だが事実、小さい頃にスラムで学んだ
ふと
──
少女は
──彼女もきっと自分と同じだったのではないだろうか?──
少女はその様に理解していた。
──あれから──逃げ出す
少女は追っ手を気にしているのか、何度も背後を気にしながら進んでいた。
「もぅ
少女は声を発したが掠れて上手く出せない。
それでも
逃げている間、水を飲む事は出来たのだが、野草や木の実しか食べる事は出来ていなかった。
一昨日からどうやら高熱があるようで、頭も朦朧としている。
手の甲で額の汗を
少女は長い間、世界中を連れ回されて、その珍しい容姿から金儲けの為の
西の大陸から遥か遠くこの東の大陸まで。
そして最後は
「ムウゥ……。キモチワルイ」
──今、自分はいったい世界の何処にいるのだろう?──
世界中を見て回る事、それ自体は少女の幼い頃からの夢であった。だが
──今度は絶対に自分の足で世界を見て回る──
肌の色の違いで
──絶対に家へ帰る。家族の所へ。お父さん、お母さん、待っててね──
少女は上を向き、
「ムウゥ……」
しかし
──足の裏が痛い。足首も、頭も、身体中が痛い──
再び歩き始めようとしても全身に力が入らず動けない。
──熱い。水が欲しい。お腹も空いた。なんだか……まぶたが重い。もう……疲れた──
少女の小さな身体が
──少し──
「すこしだけ……ねむ……らせて……」
かつて、世界の全ては人間が
その文明は今よりも遥かに
彼らは多くの国々に分かれて暮らし、その
だがある時、彼らは東と西に分かれかつてない大戦を始める。
世界に人間が増えすぎた為、土地も
争いは数十年ほど続き、多くの人間が世界から消える形で終結した。
いくつもの強烈な光、巨大な爆発、東西で、世界中のいたる所で。
築いた高度な文明も、自然も、全て吹き飛ばす爆風。
大地は炎で焼き尽くされ、空を黒く塗り潰す
大陸は人間が住めぬ死の大地となり、奇跡的に生き残ったわずかな人間は、残された小さな島々に逃れる。
それから長い時が流れ──死の大地の上で異変が起きた。
そこに残されていた生き物達に変化が起こり、人間に似た姿へと
彼らは以前よりも
生き
両者はやがて、かつての死の大地の上で出会い、時に争いながら
その後、人間は
北方に誰も立ち入らぬ、毒の大地を残しつつ。
新たな世界にかつてのような高度な文明はない。
この世界ではヒトによって広められた
世界の始まりが一つの
そして現在──世界はかつての時代の様に多くの問題で
『
言葉を発さず
二足を持たず
地に
天を
世界の
神はクロノカクノミを
それは禁断の毒の
──を──した──に──に──しき──を──
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます