第8話 短編の構成(蓮条バージョン②)

 前頁で約3万文字で纏めるための章構成をざっくりと説明致しましたが、5回ほど読み返してみて、ちょっとあれでは伝わりづらい部分があるので、その部分を補足として追記しておきます。


 1章では起承転結の『起』の部分なので、主要人物の説明や舞台の説明などを書き、その中でヒロインとヒーローの出会いと、恋には発展しなさそうな温度感、距離感を記す


(注意事項↓)

 ・短編では、主人公の絡みがある舞台(部分)がホームベースなので、

 それ以外の部分は軽く流す程度で掘り下げない


 ・ヒロインは高校生ですが、学校生活の部分は重要ではなく、あくまでもエッセンス程度の描写に留める

 (親友との恋のお悩み相談の会話、放課後にバイトに向かうヒロインに親友が話しかける程度で、授業がどうのこうの、クラスメイトがどうのこうの、学校行事がどうのこうのは全く触れなくてもOK、触れても友人A,友人Bとして書く程度)

 この部分を掘り下げると、学園ものになってしまうので、要注意です


 ・バイト先のカフェがラブの舞台になるので、バイト先のスタッフに関しては登場人物として、しっかりとキャラの練り込みが必要です

(カフェに来店する客は必要ですが、アクセント程度に留め、客人A、客人Bとして描写の中にサラッと書く程度に)


 ・姉の代わりにバイトを始めたばかりのヒロインなので、慣れないお仕事あるあるは必須(プチ失敗談や、城下町という舞台設定なので、サラッと観光地でバイトしていることを触れておく)


 ・1時間程度でカフェを退店していく客が大半の中、無言で数時間も一点を見つめているお客様(ヒーロー)が気になるが、『話しかけるなオーラ』を発していて、挨拶NGの空気感を描く(話しかけても邪魔だと言わんばかりに嫌悪な表情を浮かべる、等)


 ここまでが1章で触れる、ざっくりとした内容になります


 どんな出会いか、舞台はどんな場所か、主人公の性格や状況からして、ラブに発展がしにくい状況をきちんと明確に位置付ける必要があります。(マイナス展開から入るため)

 冒頭を恋の予感から入ってしまうと、最初のインパクトが残りやすいので、その後にラブ展開を落とし込んでも霞んでしまいがち。


 冒頭の入りはサッと駆け抜け、

 起承転結の『承』の部分を厚みを出す方がよいと思います


 文字数なら4000~5000文字程度が1章部分になります


 どうでしょう?

 そんなに難しい感じはしないでしょ??

 あれこれ全部書かなくていいのですよ

 必要な部分は、恋に展開するエリア内でのあれやこれやなので。


 難しいのは、2章以降の主人公同士の絡み部分

 何もないところからスタートしている設定なので、(幼馴染とか部活の仲間ではない)3歩進んで2歩下がる感じが掴めていればOK

 何気ないやり取りの中で、存在感をさりげなく刷り込む感じに絡ませていけばOKです


 不愛想なヒーローなので、ヒロインから頑張る必要が出てきます。

当たって砕けろ精神で、果敢に挑む展開に作家の個性を出して紡ぎます


 『転』の部分は劇的に変わる部分になるので、

全く恋に発展しそうになかった二人が、急展開する場面です

そこから一気にボルテージが上がり、『転』の終わりはどん底まで落とし込むのをお忘れなく。

 ラストに向けた、クライマックスというやつです

落としどころと言われいて、ここが最も読者の心を掴む部分です


 前頁で記載した章タイトルで言うと『催涙雨』の部分ですね

恋人のように近距離まで発展した二人ですが、ヒーローには『手術と治療』が待っています

 今はしゃがれた声が辛うじて出せていますが、術後はその声すら失う可能性もありますし、治療の辛さや再発の可能性もあるので、連絡先を知っていても、今まで通りにはいかないジレンマさを切なく描きます。


 ここがしっかりと落とし込めないと、ラストへの期待は薄くなり、読後の余韻が得にくくなりますのでご注意を。


 いよいよ、ラストの『結』部分ですね


 ここは、作者様が伝えたいことをふんだんに盛り込んでよしです。

もちろん、読者様にも幸せの感情移入がしやすいように、展開をしっかりと描きつつ、です


 プラスアルファで編集部が見ている点は、読者をいい意味で裏切る展開になっているか?(斬新なラストが描かれていると加点されるようです)

 これは、書籍化した場合、続編を発行したら売れるか?という目線でチェックされます。作者の力量を見極めているのかと思います


 続編でなくても、この作家なら別の作品も面白いものが描けそう、という心に響くラストが残せると良いようです


 ざっとですが、こんな感じの内容で書いたものになります。

参考になるかしら?(◎_◎;)


 流れが掴めたら、あとは1シーン1シーンを丁寧に形にして、繋ぎ合わせてゆく工程です

 短編なので、あまりくよくよ悩むキャラはお勧めできません

 テンポよく進める必要があるので、ある程度行動力のある主人公(片方)が必須です

 

 

 ではでは、2000文字を超えたので、ここら辺で締めますね~


 長編は、主人公同士が恋愛を通して成長を得るような、欲張りな物語です

それに比べ、短編では、恋の気づきと変化くらいで纏めれれば十分です


 恋が愛になるまでの軌跡を描くには、短編では不利なので、

 読後にお腹いっぱい状態になってなくてもいいのです

 いい意味で、余韻を残すくらいが程よい塩梅です


 3万文字の世界で、素敵な瞬間が沢山描けますように…


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