第6話 統一感
今回は、作品を通しての『統一感』のお話です
1話完結、アンソロジーとかではなく、
1作を通して1つの物語とした場合、最初からラストまで、ブレのない1本の軸が必要不可欠です
それがタイトルになったり、主人公の性格や職業など、絶対的に変動のないものを当てるのが手っ取り早い統一感の出し方ですかね
例えば、主人公のヒーローは『バリスタ』という職業に就いているとします
ヒロインは友人たちと何気にカフェに立ち寄り、イケメンのバリスタの彼に一目惚れ
そんな出会いから、片想いの時期を乗り越え、やがて両想いになり、ハッピーエンドになる展開だとして。
どこで統一感を出すのか?ということなんですが、
よくあるのが、『バリスタ』にかけて
➀ブレンド(=営業スマイル)な出会い(←マイナス展開)
②休日のラテ(=まろやか)な彼(←プラス展開)
③エスプレッソ(ビター)な夜(←マイナス展開)
章タイトルを珈琲絡みにして、恋愛とバリスタをかけ合わせる感じです
これが、華道家なら花や花言葉、美容師なら色や質感など
『恋愛』と言っても、あれもこれも書きたいではブレブレになるので、
構成の段階で1本の筋道をきちんと決めておき、そこから枝分かれするように少しずつ付け足しながら伏線を落とし込んでいくのが、完結できる最短ルートです
小説は俳句や短歌と違い、ある程度の文字数が必要になりますし、数多くのセリフやシーンを繋ぎ合わせなければなりません
ファンタジーや異世界ものと違って、恋愛では移動範囲が限られています
せいぜい登場する人物の視点切り替えや、時系列を回想にして振り返る、間を置いて時間を流すくらいで、いきなり展開ががらりと変わることはほぼありません
だからこそ、千鳥足のような流れにならないように
最初の段階でブレない芯の部分をきちんと用意しておくことが大事です
それはすなわち、キャラや舞台の設定が確たるものになっていなければならず、話を進めながら付け足して膨らませることは冒険のようなものです
プロットの段階で章数、モチーフのシーンの数、各章に登場する人物の数など、基本が練られているわけですから、そこに追加していくのは、ラーメンやカレーにトッピングしているのと同じです(出たでた、例え話w)
トッピングは無くても支障は来しません
あったらあったでよくなる可能性もありますが、くどくなって胸やけすることもありますよね
エタる作品の多くは、読者の反応を見て、あれこれと欲を掻いて付け足すか
もしくは予想外の反応に、最初に練っておいたプランを続行する勇気が失せてしまうか(病気や仕事などでサイトから離れる人はカウントせずに)
反応を見ながら、更によく味付けができる人は一握りなのですよね
だって、『これは面白い』と思って書き始めた作品を途中で軌道修正していたら、最初に書きたいと思っていたことすらリセットされている可能性が高いからです
それが成功できる人は、アマチュアのレベルを超えていると思われます
編集担当さんに指摘されて、よりよいシーンを捻り出す能力ですから、それ
蓮条、その昔、編集さんと構成のあれこれで毎日何十回とやり取りしましたが、心がボロボロになるくらいしんどかったです(笑)
完璧だと思って書いたシーンをバッサバッサとぶった斬られて、ダメ出しのオンパレードw
それでもやはり見る側はプロなのですよ
頭を冷やして俯瞰してみると、言葉の意味がスッと入って来るのですよね
それ以降、足し算より引き算が美徳だと、学びました
最初に練る時はここぞとばかりに書き出していいのです
それを築き上げながら、削ぎ落してゆく作業が大事で
最初にしっかりと練っていなければ、削ぎ落すものすらない、ということになります
蓮条の場合、完結済みの拙作で説明しますが、(ネタバレ含みます)
『猛虎』であれば、『空手』がモチーフなので、あちこちに空手用語のようなものを落とし込んであります
『オーバーキル』であれば、『初恋あるある』でしょうかね。幼馴染という近距離恋愛なので、何気ないものをモチーフにしてます
『サイコ』であれば、『ヒーリング』です。心の癒し部分にライトを当ててるので、そこを中心にラブ要素が配列してる感じでしょうか
どんなことでもいいのですよ
『恋』や『愛』の文字から連想できないようなものでも
それをどれだけ、恋愛に変換して表現できるか、ここが見られているのだと思います
なので、最初の構成の段階で『テーマ』と『モチーフ』とお伝えしたと思いますが、それがここに繋がってくる、というわけです
ここで躊躇うようであれば、一度最初の構成部分に戻ってみましょうか
きっと足りない何かがあるはずですよ~
逆を返せば、統一感のあるテーマを設けれるように、キャラの職業や性格をここから作り上げるということも可能です(奥の手ですけどね)
そうすれば、最後までブレないキャラで存在感を出せて、作風を作り上げられるからです
正解はありません
これも数多くある理論の一端です
書くのに迷いが出た時、何から手を付けていいのか分からない時、
こういう作り方もあるんだぁと、脳の片隅に置いて貰えたら感無量です
おっと2000文字超えました
では、今回はここまで<(_ _)>
ここまでお読み下さり、ありがとうございました
皆様にとって、素敵な一日になりますように
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