第3話:誕生日のプレゼント。
自殺をとどまった
死神の言うことを信じて次の日はなんとか会社に行った。
淡々と業務を終えて疲れた体でアパートに帰ってきた。
今日は自分の誕生日だって分かってたけど、お祝いをしようって気には
ならなかった。
死神が言った・・・私の誕生日にプレゼントが届くって。
そのことが気になっていて、なにが届くんだろうと思いながら時間を過ごした。
夕方になって死神が言ってたように向日葵の部屋に荷物が届いた。
宅配の人も大汗をかくくらいの大きさの段ボール箱。
向日葵も手伝って部屋までズルズル引っ張って運びこんだ。
「こんな大きな箱、なにが入ってるんだろ?」
そう思って向日葵はとりあえず版ボールを開けてみることにした。
ガムテープを剥がして、蓋をカパッと開けてみた。
そしたらいきなりだった。
「お待たせ!!向日葵ちゃん・・・お誕生日おめでとう」
そう言って箱から上半身を起こしたのは、なんと
「はい、向日葵ちゃん、お誕生日の花束〜」
「あ、ありがとう・・・え?うそ涼介?・・・涼介だ・・・でもなんで?」
「向日葵ちゃんの誕生日にプレゼントが届くって俺、言ったでしょ?」
「俺?・・・俺って?・・・うそ、まさか死神?」
「違う!!グリム・リーパーだって」
「涼介じゃないの?」
一瞬、涼介が蘇ったのかと思った向日葵、それがどうやら昨日会った死神
だと知って一気にやる気が失せた。
「今日から俺は涼介として向日葵ちゃんと一緒に過ごすから、しばらくの
間だけどな・・・」
「向日葵ちゃんの心の中から悲しみが払拭されるまで・・・」
「なんでですか?・・・これってぬか喜びじゃないですか?」
「だって偽物の涼介でしょ?」
「偽物って言うな・・・あのねモノは考えよう・・・姿形は小鳥遊 涼介なん
だから、彼なんだって自分に言い聞かせたらなんの問題もないだろ?」
「全然、違うと思いますけど、涼介はもっと品がいいです」
「あそ、なら聞くけど向日葵ちゃん、どれだけ涼介のこと知ってるの?」
「一緒に暮らしてた訳じゃないだろ?・・・ただ遠くからいちファンとして
彼を見てただけだろ?・・・いったい涼介のなにを知ってんの?」
「そう言われちゃうと・・・返す言葉ないけど・・・それにしたって」
「向日葵ちゃんは最初に涼介を見た時、彼のビジュアルに惹かれたんだろ?」
「だったら内面なんて求めなくていいじゃん」
「君の誕生日に君の涼介が現れた、そのことをなにも考えず素直に受け止めたら
いいんだよ」
「そうだけど・・・まあ涼介に会わせてくれたことは感謝するけど・・・」
「分かった・・・嫌なら帰る・・・迷惑だって思われてここにいたって惨めな
だけだからね・・・アホらしい」
「あ、帰らないで・・・ごめん・・・お願いここにいて」
「所詮、俺は君が思う涼介にはなれないんだよな?」
「分かったから・・・偽物でもいい、涼介もどきでもいいから、ここにいてお願い」
「いいのか?本当に?」
「うん・・・ごめん・・・せっかくのサプライズに文句言っちゃって」
「じゃ〜このままここに居ていいんだな?」
「居ていいよ・・・でもなんでそこまで私に親切にしてくれるの?」
「ああ、それは簡単・・・俺、向日葵ちゃんのこと好きになったから」
「
思ったからね・・・完璧な理由だろ?」
「ああ・・・私のこと好きになっちゃったの?・・・死神が?」
「グリム・リーパーだって、何度言ったら分かるんだよ?」
「でも今日から涼介でしょ?」
「あ、そうだった・・・グリム・リーパーの俺はもういないんだった」
「涼介なんだ、俺・・・ってことで、よろしくね向日葵ちゃん」
「あ、それからひとつ・・・俺さ、日が落ちてからじゃないとここに
いられないから・・・普段は暗い世界で暮らしてるからね、だから陽の光が
苦手なんだ・・・残念だけど向日葵ちゃんの相手ができるのは夜だけだから・・・
まあ、カーテン閉めてくれたら昼間でもいられると思うけど・・・」
「昼間の外でのデートはできないと思ってね」
「はあ・・・分かった・・・よろしく、グリム・・・あ、涼介・・・」
こうして死神、いや偽物の
つづく。
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