第2話:グリム・リーパー。
「死神って言い方は好きじゃないな・・・グリム・リーパーって呼んで、
向日葵ちゃん・・・そのほうがカッコイイでしょ?」
「グリム・リーパーですか?」
「あの、そんなのどうでもいいです、私の邪魔しないでくれませんか?」
「あのさ、向日葵ちゃん・・・あんた死ぬのまだ早いよ、寿命まだ来てないもん」
「それで私を止めたんですか?」
「そだね、まあたまたま近所を通りかかったからね、この先の横山さんちの
おじいちゃん、もう寿命でね・・・だから魂もらいに来たんだけど、でこの
見たらヤバそうな女子がいるな〜って思って・・・」
「俺さ、死にそうなやつみたら分かんのよ」
「せっかく親からもらった命でしょ、粗末にしちゃいけないよ向日葵ちゃん」
「死のうってんだから訳ありだろ?・・・よかったらその訳、俺に話してみない?」
そこで向日葵は涼介に起こった事故のことを死神に話した。
「なるほどね・・・あのさ、俺がここからいなくなったら向日葵ちゃんまた
ここからダイブするつもりだろ?」
「状況は変わんないです・・・生きてたって意味ないですから」
「涼介のいない世界でなんて生きていたってしょうがないです」
「向日葵ちゃん・・・そんなに可愛いのにさ、死んじゃったらもったいないじゃん」
「君の人生はこれからだよ?」
「この先、悲しみに埋もれたまま生きてても意味ないですから」
「困ったね・・・どうしたら死のうなんて思わないで済むかな?」
「そりゃ涼介が生き返ってくれたら?」
「そうだ死神さん、涼介生き返られませんか?」
「世界中探したって死んだものを生き返らせるやつなんていないよ」
「たとえ神様でもな」
「そんなやつがいたらみんなお願いするだろ?」
「そうですよね・・・そうなんだ、やっぱり涼介は戻ってこないんだ」
「そうやって落ち込むからいけないんだよ」
「向日葵ちゃんは悲しみに囚われすぎ」
「じゃ〜分かった・・・しばらくの間でよかったら涼介に会わせてやるよ」
「そのくらいなら俺にでもできるから・・・」
「彼に会えたら死ぬなんてアホなことやめるか?」
「と、とりあえずは・・・え?でもそんなことできるんですか?」
「そだね〜間のいいことにに明日、向日葵ちゃん、誕生日だよね」
「そうですけど・・・よく知ってますね、で誕生日がどうかしたんですか?」
「死ぬのをやめて、このままアパートに帰って明日、君の誕生日の日にさ
ちょとしたプレゼントが届くから・・・楽しみに待ってな」
「今すぐにでも叶えてやりたいけど、なにかと準備が必要だからな」
「ここで、この橋からダイブして死にたかったらそれでもいいけど、そのかわり
涼介には二度と会えなくなるぞ・・・今夜は何も言わずにアパートに帰れ」
「いいな、死ぬんじゃないぞ」
そう向日葵に釘を刺して死神はスーッと消えていった。
死神に説得されて向日葵の気持ちに少しだけ余裕が生まれた。
死ぬのは明日でも死ねる・・・そう思って向日葵は半信半疑のままアパートに
帰った。
つづく。
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