目覚めたら猫耳⁉ ～異世界召喚でアイドル級猫耳メイド魔法使い⁉に大変身！～

第18話 王宮の休日⁉ お忍び町案内とエリオスの秘密！

　舞踏会の次の日、リリカとステラは久しぶりにゆっくりと過ごせる時間を楽しんでいた。広い庭園でリラックスしながら、お茶を飲み、これからの計画について語り合っていた。しかし、穏やかな時間もつかの間、大隊長であるステラに急な呼び出しがかかり、静かな一日の予定は崩れてしまった。

　メルヴィルが急いでステラのもとにやって来て、申し訳なさそうに頭を下げた。

「ステラ大隊長！、大変申し訳ないけど、急な対応が必要なの。どうしてもあなたのの助けが必要で…お願いできるかしら？」

　メルヴィルの頼みを受けたステラは一瞬戸惑ったものの、すぐに覚悟を決めて頷いた。

「わかりました、メルヴィルさん。すぐに向かいます。」

　ステラはリリカに向かって少し申し訳なさそうに笑みを浮かべた。

「リリカ、ごめんね。ちょっと行ってくる。」

　リリカはステラの肩を軽く叩いて、励ますように微笑んだ。

「大丈夫だよ、ステラさん。頑張ってね！私はここで待ってるから。」

　ステラがその場を離れた後、リリカは一人で過ごすことに少し退屈を感じ始めていた。そんな時、エリオスがひょっこりと現れた。

「リリカさん、せっかくの休日だし、町に出かけてみない？王宮の中も素敵だけど、外の世界も楽しいよ。」

エリオスの提案に、リリカはすぐに興味を示した。

「いいね、それ！でも、エリオス君も一緒に行けるの？」

エリオスはにっこりと笑い、リリカの手を取って頷いた。

「もちろんさ。ただし、ちょっとお忍びで行くことになるけどね。」

「ステラさんのお相手は兄さんに頼んでおくね。」

　その言葉に、リリカの目はさらに輝きを増した。護衛のレオンも同行することになり、リリカとエリオスは準備を整えて王宮を抜け出すことにした。

　しかし、リリカもまた有名な猫耳メイド魔法使いとして町で話題になっているため、目立たずに外に出るには変装が必要だった。エリオスはリリカの心配を聞いて、軽く考え込んだ後、得意げに提案した。

「リリカ、変装して出かけようよ！僕がバッチリ変装させてあげるから。」

　エリオスはリリカを王宮内の自分の部屋に案内し、隠し部屋に連れて行った。そこにはエリオスがいつも使うお忍び用の変装道具がたくさん並んでいた。

「さあ、ここでリリカも変身だ！」

　エリオスは帽子やスカーフを巧みに使ってリリカの猫耳を隠し、シンプルで落ち着いた服に着替えさせた。さらに、大きなサングラスとマフラーで顔立ちを隠し、普段のリリカとはまるで違う姿に仕上げた。

リリカは鏡を見て、自分の変身ぶりに驚きながらも笑った。

「すごいね、エリオス！これなら誰も私って気づかないよ！」

　エリオスは満足そうに頷き、リリカに微笑んだ。

「よし、これでバッチリだね。さあ、町へ出かけよう！」

　エリオスによる町案内の始まり

　変装を終えたリリカとエリオス、そしてレオンは王宮を出て、賑やかな町へと繰り出した。町の通りには多くの露店や商人たちが並び、活気あふれる光景が広がっていた。エリオスはその光景に自然と溶け込むように、町の中を案内し始めた。

「ここが僕の大好きなパン屋さん。ここのクロワッサンは最高なんだ。あと、あっちの雑貨屋さんには面白いものがたくさんあるんだよ。」

　エリオスは町の隅々まで熟知している様子で、次々とリリカにおすすめの場所を紹介していった。リリカはエリオスの案内に夢中になりながら、次々と新しい発見に心を躍らせていた。

「本当にすごいね、エリオス。王子なのに、こんなに町のことに詳しいなんて！」

　リリカは感嘆の声を上げ、エリオスの知識の豊富さに驚いていた。エリオスは照れくさそうに笑いながら、リリカの隣を歩き続けた。

「うん、でもこうしていろんな人と出会って、いろんな経験をするのが僕の楽しみなんだ。王子であることも大切だけど、それだけじゃなくて、もっと広い世界を知りたいんだよね。」

　エリオスの言葉に、リリカは共感したように頷いた。

「それって素敵だね。私もこうして異世界に来て、いろんなことを学んでいるんだ。新しいことを知るって、本当に楽しいね。」

　レオンもまた、二人の会話を聞きながら優しく見守っていた。エリオスの秘密の冒険を支え続けるレオンは、彼の成長を心から応援していた。

　その後、エリオスは町の広場で友達と再会した。彼は友達にリリカを紹介し、彼女たちと楽しく話しながら過ごした。エリオスの友達は、彼が王子であることを知っているが、あえてそれを特別視せずに接している様子が見受けられた。

「リリカ、この人たちが僕の友達だよ。みんな、すごくいい人たちなんだ。」

　リリカは笑顔でエリオスの友達たちに挨拶し、彼らと打ち解けていった。エリオスの友達はリリカを歓迎し、彼女の異世界から来たという話に興味津々だった。

「エリオスって、本当にいろんなところに顔が広いんだね！」

　リリカはそう言いながら、エリオスの友達との時間を楽しんでいた。エリオスの町案内は続き、彼の広い交友関係と町での生活がどれほど充実しているかが垣間見えた。

「次はあそこの公園に行こうか。あそこにはきれいな池があって、みんなでよく集まるんだ。」

　エリオスの案内で訪れた公園は、静かで穏やかな場所だった。池にはカラフルな魚が泳いでおり、花々が咲き誇る小道を歩くと、まるで時間がゆっくりと流れているかのようだった。

「素敵なところだね、エリオス。こんな場所があるなんて、知らなかったよ。」

　リリカはその美しい景色に目を輝かせ、エリオスと一緒にその瞬間を楽しんだ。エリオスは誇らしげに頷き、リリカとレオンに新たな場所を案内することを楽しんでいた。

　エリオスの町案内は続き、リリカも新たな発見に胸を躍らせながら、エリオスの冒険心に触れていた。王子としての責任と自由な冒険の狭間で、エリオスは自分の居場所を見つけ出していた。

「エリオス、今日は本当にありがとう。君のおかげで、素敵な一日になったよ。」

　リリカはエリオスに感謝を伝え、エリオスもまた笑顔で応えた。

「こちらこそ、リリカ。君と一緒に過ごせて、僕も楽しかった。これからも、また一緒に町を歩こうね。」

　リリカとエリオスの友情は、王宮を越えてさらに深まり、彼らの冒険はまだまだ続くのだと感じさせた。レオンもその二人を見守りながら、これからの未来に期待を寄せていた――。