目覚めたら猫耳⁉ ～異世界召喚でアイドル級猫耳メイド魔法使い⁉に大変身！～

第17話 舞踏会の夜⁉ 華麗なパフォーマンスと恋の予感！

　リリカとステラは昨夜の変身の余韻を感じながらも、夜の舞踏会に向けての練習に励んでいた。広間でのダンスの練習に真剣に取り組む二人を、アレクは優しい眼差しで見守っていた。

「リリカ、ステラ。君たち、本当に息がぴったりだね。きっと今夜の舞踏会でも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるよ。」

　アレクの励ましに、リリカは笑顔で応えた。

「ありがとう、アレクさん！私たちも頑張るから、楽しみにしててね。」

ステラも軽く息を整えながら、アレクに微笑みかけた。

「アレクさんのおかげで、私たちも力が湧いてきたわ。今夜、最高のパフォーマンスを見せるわ。」

　三人はそのまま練習を続け、昼食の時間になると、王宮の庭に設けられたテーブルで共に食事をすることにした。和やかな雰囲気の中、アレクはふと昔の話を始めた。

「この庭園には、僕の大好きな思い出がたくさんあるんです。だけど、悲しい記憶もあって…。」

　リリカとステラは静かに耳を傾け、アレクは目を閉じて語り出した。

「実は僕の母、ルーナ女王は僕が幼い頃、魔人に殺されてしまったんです。昨晩、二人が見た蝶の名前と同じ『ルーナ』なんです。」

　リリカとステラはその話に驚き、アレクを見つめた。アレクはどこか悲しげな表情をしていた。

「母はあの蝶が大好きでした。だから、母が亡くなった後、僕がその蝶に『ルーナ』と名付けたんです。彼女の美しさと優しさを、いつまでも忘れないようにと。」

　アレクの語る過去に、リリカとステラは言葉を失った。リリカはそっとアレクの手に触れ、優しく微笑んだ。

「アレクさん…そんな悲しいことがあったんですね。でも、きっとルーナ女王も、アレクさんのことを見守ってくれていると思います。」

　ステラも頷き、アレクに励ましの言葉を送った。

「私たちも力を貸します。アレクさんが悲しまないように、そしてルーナ女王のためにも。」

　アレクは二人の言葉に感謝し、少し気まずそうに微笑んだ。

「重い話をしてごめんね。でも、君たちと話せて良かった。ありがとう、リリカ、ステラ。」

　気を取り直して、三人は昼食を続けた。そして、いよいよ夜の舞踏会の時間がやってきた。リリカとステラは華やかなドレスに身を包み、王宮の広間にサプライズで登場した。

　リリカとステラは、魔法を駆使して優雅なパフォーマンスを披露した。リリカの魔法は流れるような光と炎のリボンとなり、ステラの魔法は空中に水の龍を作り出した。水龍は光と炎のリボンにつつまれ宙を舞う。二人の魔法はとても優雅で、観客たちはその幻想的な光景に魅了されていた。

　リリカは一瞬の間合いで華麗にターンし、光の花びらがふわりと広がる。ステラは水の波紋を踏むようにステップを繰り出し、二人のパフォーマンスは完璧な調和を見せていた。会場の空気は高揚し、歓声と拍手が次々に湧き起こった。

　その時、広間に王が現れ、アレクに向かって笑顔で声をかけた。

「アレク、君がダンスのパートナーに選ぶのはリリカさんとステラさんのどちらかな？是非、君と彼女たちの踊りを見たい。」

　アレクは王の突然の提案に少し驚いたものの、すぐに笑顔を取り戻し、二人に目を向けた。

「リリカさん、ステラさん、踊っていただけますか？」

　リリカとステラはその申し出を快諾し、まずはリリカがアレクの手を取った。

「もちろんです、アレクさん。よろしくお願いします！」

　アレクとリリカは優雅なステップを踏み、華やかなワルツを踊り始めた。リリカのスカートがふんわりと広がり、光のリボンが彼らの周りを舞った。アレクのリードは的確で、リリカの動きは軽やかでありながら力強く、会場の空気をさらに盛り上げた。

　リリカとアレクの踊りが終わると、アレクは次にステラに手を差し出した。

「ステラさん、次はあなたと踊りたい。」

　ステラは少し顔を赤らめながらも、アレクの手を取った。

「ありがとうございます、アレクさん。私も光栄です。」

　二人が踊り始めると、まるで恋人同士のように息の合ったステップを見せた。ステラの動きは柔らかく、アレクは彼女を優しくリードし、そのたびにステラのスカートが優雅に揺れた。彼らのダンスは、まるで一つの物語を紡いでいるかのように見えた。

　観客たちは息を呑んでその光景を見つめ、やがて拍手喝采が広間に響き渡った。リリカもその踊りに魅了され、二人が踊り終わった後も、その余韻に浸っていた。

　最後の一歩を踏み終えた後も、アレクとステラは互いを見つめ合ったまま、動くことなく立ち尽くしていた。その姿に、リリカをはじめとする観客たちは、まるで愛し合う恋人同士のような二人の絆の強さと美しさを感じ取った。

　舞踏会は大成功のうちに幕を閉じ、リリカとステラはその夜の出来事を胸に刻んだ。アレクと共に過ごした時間は、彼女たちにとってかけがえのないものとなり、これからの冒険への新たな力となった。

「アレクさん、今日は本当にありがとう。私たちももっと頑張るね。」

「ステラさん、リリカさん、こちらこそありがとう。これからも一緒に、力を合わせていきましょう。」

　夜の王宮には、まだ舞踏会の余韻が残っていた。リリカ、ステラ、そしてアレクは、新たな決意を胸に、未来への一歩を踏み出した。三人の絆は、今後の冒険の中でさらに強く輝いていくことだろう――。