第3話 拝み屋ネタ(七人ミサキから)
茨城県 鵜の岬
ワンワン!
「ま、、待って、リリィ。そんなに走ったら追いつけないよ。」
「はぁ、、はぁ、、そう。そこで待っててリリィ。」
リリィは嬉しそうに立ち止まり、砂浜の砂を掻き上げている。
前日に降った雨で、若干ぬかるんでいるものの、リリィは飼い主の女性の
声に、まるでそれに応えるように、尻尾を振りながら、白い砂を掻き上げた。
やがて、リリィは砂を掻き上げるのを止め、両耳をツンと突き立て、掘った場所を見下ろし近寄ってくる飼い主に向かって、ワン!と一言吠えた。どうやら”何”かを見つけたようである。
「リリィ、何か見つけたの?まさか、”玉手箱”って言わないでよね。」
飼い主の女性は半分、何かに期待するように、リリィが掘った場所を覗き込んだ。
「え?嘘、、、これって、、。」
白い砂に埋もれた砂中から、黒い漆塗の小さな箱(寸法 略)を見つけた。
¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥
○○高校
「パトカーが止まってるけど、、。」
「やだ、何か事件かしら?」
校門前
新米刑事「遅いな、拝み屋。」
新米刑事は腕時計を気にしながら、拝み屋の下校を待った。
二十分ほど待ったであろうか?ようやく拝み屋がこちらにやってきた。
「え?パトカーで来たの?」拝み屋が助手席に乗ろうとした。
「助手席はダメだよ。後部座席に乗って。」新米刑事は手ぶりで拝み屋に言う。
「別にいいじゃん。後部座席だと、まるで私が悪いことしたように見えるし。」
「仕方ない。」新米刑事が後部座席に乗り換える。
「、、、。」拝み屋も渋々、後部座席に乗る。
下校途中の他の学生たちが心配そうに見守っている。
「何か事件でも?」
「やだー、ウチの高校で被疑者が確保されるなんて。」
「何か揉めてるみたいだし。」
・
・
・
「話は何なの?」
「ああ、茨城県の鵜の岬で、海岸沿いを犬と散歩中の女性が、砂浜から”玉手箱”を発見したんだ。」
「玉手箱?」
「うん。その女性は玉手箱を開けなかったんだが、開けなくて”正解”だったと思う。近くの交番にその玉手箱を届けた。担当した署員が、玉手箱の中身を確認しようとしたら、、。」
「、、、したら?」
「人の右手の小指が見つかったんだ。」
「、、、。」
「それと一緒に、メモ書きも発見され、そこには”一つはじめの数え方”と。」
「、、、。」
「何かの儀式を感じさせるような動機にも見えるが、、、。」
新米刑事が急に黙り込んだ。
「どうしたの?口数が少ないように見えるけど?どこか調子でも悪いの?」
「いや。見つかった”小指”なんだが、、その小指は”成人”の小指ではないんだよ。」
「え?」
「、、、発見された小指は、小学生より下の学年という見解だよ。」
「なんていう事なの。」
「小指が発見された前日は、一日中、雨が降っていて、何もかも雨によって流されてる。まあ、もっとも満潮時には、証拠となり得るものが波によってかき消されてるんだがな。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます