第21話 呪文の是非
ブゥン、ブゥン……馬場は拾った
「それはそうとさぁ~」
馬場はいきなり鹿島のグングニールへの興味を失ったようである。
「召喚とか収納とかってどうするよ?
やり方のヒントも無いんじゃ
いきなりなげやりになった馬場に少し呆れながら鹿島は自分の
「色々試してみるしかないんじゃないの?
もしかしたら呪文とか要るのかもしれないですし……」
「呪文って、さっきは土系魔法も全然成功しなかったじゃんっ!!」
ビュンッ! と
「呪文ったって英語だとは限んないじゃない。
そういえばゲームやアニメの魔法の呪文って、何で全部英語なんでしょうね?」
「え!?
鹿島の呈した疑問に何故かムキになって反論する馬場に鹿島は一瞬たじろいだ。
「いや、あれはそうか……」
「あと、
「それ、洋ゲーだからでしょ!?
「ソーサリィもたしか違った」
「ボクそんな古いゲームやったことないもん」
鹿島の一言に馬場は
「えぇー!? 私と一個しか違わないくせにぃ!!」
オッサンはほぼ同世代の人とのジェネレーションギャップを認めたがらない生き物なのだ。
「あれパソコンだけだったでしょ!?
ウチ、ファミコンしかなかったもん!!
雑誌の広告でみたことしかなかったんだもん!!」
頬を膨らませた鹿島の弁明に馬場は不本意ながら納得せざるを得なかった。馬場や鹿島が子供の頃は既にゲームマシンの種類が豊富だったが、家庭によって持っていたマシンが全然違っていたりしたのだ。○○君チと××君チはファミコン、▽▽君チはセガ、◇◇君ちはPCエンジン……といった具合だ。下手すると学校で持っているゲームマシンごとに派閥が出来てしまうことすらあった。
馬場はそっぽを向いて再び素振りを始める。
「ダンク・ソウルなんかほぼ日本語だったよ?」
鹿島も
「それってローカライズされてるだけじゃないの?」
「逆に訊くけど、
「うーん……
「あれってTRPGじゃなかった?」
「別にTRPGでもいいじゃん!
あと一応、オンライン版もありましたよ!」
「ほかには?」
鹿島はちょっと考えたけど、メジャーなタイトルでは思いつかなかった。
「……RPGデキールの奴とかかなぁ」
「それ同人ゲーじゃん」
さすがに馬場も呆れて
「ア、アニメ作品とかは全部英語の呪文でしょ!!」
「ぶっぶーっ!!
デスペラーズは違いましたぁ~」
「アレはヘビメタのバンド名や曲名をそのまま使ってたから英語みたいなもんでしょ!?」
手を止めて
「まぁともかくだよ馬場さん、英語じゃないかもしれないんですよ。
てか、英語の呪文なわけがないと思うんですよね」
「言われてみればそうだけどさ、てことは余計に魔法を発動させる難易度があがったってことじゃない?」
馬場は左手を腰に当て、右手首だけで
鹿島はそれを無視して
「呪文が何語かわからないんなら、まずは呪文を唱えない発動方法を試すべきなんじゃないかなぁ?」
「え、何か言ったぁ!?」
「いや呪文がね、言語すら特定できないんじゃ予想の立てようが無いからね、まずは呪文を唱えないやり方の方を試していくべきなんじゃないかって」
「ああ、なるほど……」
馬場は元の位置まで戻って来ると、何故か再び左手を腰に当てて右手首でグルングルンと
「で、無詠唱でどうやって発動すんの?」
「うーん、やっぱ念じてみるとか?」
「念じる?」
「ほら、《
ただ念じるだけで使えちゃったわけだし?
この世界の魔法って、呪文とか要らないのかもしれない」
「なるほど‥…」
馬場はそう言うと
「じゃあ、やってみて」
「ボク!?」
「だって発案者だし……」
「‥‥‥‥‥」
鹿島は何か馬場にいいようのない不満が沸き上がるのを
「……収納!」
鹿島がそう言った瞬間、鹿島が両手で持っていたはずの
「うそぉっ!?」
馬場が驚いて声を上げ、鹿島が目を開ける。手に
「すごいよ!
どうやったの鹿島さん!?」
「や、RPGでアイテムをストレージとかに仕舞うイメージで『収納』って言っただけですけど……」
鹿島は自分でも信じられない様子で呆気にとられているような感じだが、対照的に無責任に見ていただけの馬場は興奮を抑えきれない様子だ。
「だ、出せる!?」
「え!?
あ、うん……あ、出た!?」
鹿島が再び目を閉じてアイテムを取り出す様子をイメージすると、再び鹿島の両手に
「「おおおお~~~~っ!!!」」
二人は興奮の声を上げる。その後馬場も鹿島がやったのを真似て
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