第3話 いつまでも一緒

 にゃーにゃーと猫の鳴き声。(SE)

 スリスリと顔に顔を擦りつける猫の音。(手を擦る等)


――熱い。ご主人様、熱があるみたい。


 熱を冷まそうとペロペロと頬を舐める音。(リップ音)


――温めるなら得意なんだけど・・・

――心配です。早くよくなって下さいね、ご主人様。


 メインテーマが流れる。(ME)



 チャイムの音。(SE)


――宅配便かな? ご主人様寝ているのに。

――置き配してくれるかな?


 ガチャッという鍵の開く音。(SE)


――え? 鍵? 誰?


 ドアの開く音。(SE)


――なんで? ご主人様の部屋なのに・・・泥棒?!


――シャー。(威嚇する声) ンニャー!(威嚇する声)


 抱きかかえられる。(鳴き声が顔の横まで近づく)


――フニャッ? ごしゅじんさにゃ? 


――落ち着いて? 大丈夫だよ? 本当ですか?


――分かりました。それでも・・・(小さな声。ポツリと)だれ? この女の人。


――あ、薬持ってきてくれたんですね。頼んだのですか?


――安心しました。でも・・・(小さな声。ボソッと)ご主人様、彼女いたの?


 ほのぼのした曲が流れる(ME フリー素材可)


 買い物袋から食材を出す音。(SE)

 調理の音、各種。(SE)

 にゃーにゃーと猫の鳴く声が絶えず何度か流れる。(SE)


――私も料理ができれば・・・悔しいな。

――きれいな人。ご主人様こういう人が好きなの?

――猫じゃ役に立たないの?

――猫の手も借りたいって・・・本当に失礼なことわざよね!

――ふにゃあ。わたし・・・なんにもできないや・・・


――現実見つめなきゃ。あの人、彼女だよね。嫌~いにゃ~


 料理音続く。盛り付け(SE)

 曲が終わる。


 足音。(SE)

 ベッドがきしむ音。(SE)


――あ、ご主人様が座っているベッドの横に座った。

――何だろう。やだ! ・・でも・近づけない・・・


――寂しい・・・あっ。


 ふーふーとおかゆを冷ます息。(マイクの側で息を吹きかける)

 おかゆを食べる咀嚼音。(リップ音)


――いちゃついてる~。私がやってあげたいのに・・・


――あ~んって! ずるい! 


――ご主人様! なんで照れているんですか!


――くっつきすぎです! もうダメです! 邪魔しなきゃ!


――んにゃ~~~~~~!


 猫の駆け足の音が近づく。(生音)

 ボスッという猫が飛び乗ってくる音。(体を叩く)


 

――ご主人様! ご主人様! ご主人様~~!


 抱きしめられる音。(生音)


――ふ、あの女どこかに行ったわ。ご主人様は渡さないから!


――あ、近づいてきた。

――何? 私にお土産を持ってきたの?


――かわいい? って当たり前です!

――撫でていい? ってダメです!


――お土産どうぞ? って・・・これは・・・


――全猫の憧れ! 全猫まっしぐらの『チュールチュル』じゃないですか!


――私にくれるの? 本当に?

――いやいやいや、懐柔されてはいけないわ! こんな、こ・・ん・・みゃ・・・の・・・


――フニャー! 先っぽ・・・細長い棒の先っぽからピンクの生々しい肉がはみ出して・・・しっとりと汁に塗れて光っている・・・


――な・・・舐めても・・・いい? 先っぽ・・・本当に?


――我慢・・できないです。・・ください・・・早く・・・


 クチュクチュとチュールチュルを食べる音。(リップ音)


――はあ・・・おいしい。おいしいです、ご主人様。おかしくなりそうです・・・

――あっ、いっぱい出た。こぼさないように・・・


 クチュクチュとチュールチュルを食べる音。(リップ音)

 最後にゴクンと飲み込む音。(リップ音)


――全部飲んじゃった。・・・はあ・・おいしかったです。ごちそうさま。


――触りたい? し、仕方ないですね。チュールチュルのお礼です。少しなら触ってもいいですよ。


――そんなに喜ばれても。そんなに触りたいのですか。もう・・仕方ないですね。優しく、ですよ。痛くしないで・・ね。ひゃっ!


 女が猫を触る音。(生音)

 

――あん。・・上手。あ、気持ちいい・・ふにゃあ。

――あ・・・もっと・・・いい・・気持ちいいでしゅ・・あん。


――ふう。気持ちよかったです。

――はっ、私ったら・・・ああもう。ご主人様を取られちゃうっていうのに・・・


――懐柔されそうになりました!

――ダメダメ! ご主人様は私のご主人様なんです!

――私からご主人様を取らないで下さい。


――なに笑っているんですか? 彼女の余裕ってやつですか。


 猫を撫でる音。(手を擦る)


――え?


――弟? っていうことはお姉様? ご主人様! お姉様がいたのですか!


――ふんふん。何かあった時のために鍵預かっていた。そうだったのですか。


――そうなのですね。なんだ・・・お姉様でしたの。


――よかった。てっきり・・・


――ご主人様に彼女いないんですか。


――こんなに優しいのに。


――大丈夫です。私がいますから。


――お姉様。安心してください!


――ご主人様の面倒は私が責任もって見ます!


――え? そんな事よりモフらせて? なんですかモフって。


――ひゃっ、お姉様! そんな・・・


 猫を撫でる。(手で擦る)


――き・・・気持ちいいでしゅ・・・


――んにゅあ・・あん・・・・気持ち・・いい・・です・・・


――ふにゃあ・・・お姉様・・・・もっと・・・

――気持ちよく・・してください・・


――ああん。あねえさ、うひゃあ!


 首をつかまれ肩に乗せられる猫。(マイクのわき)

 頭をなでられる猫。(耳の近くで)


――俺とねえちゃんとどっちが好きか?


――(耳元でささやくように)もちろん、旦那様、あなたですよ。


――好きです。大好きですよ。


――照れないでください。こっちが恥ずかしくなるじゃないですか・・・


――もう・・・そんなあなたが・・・好・き・で・す・よ。


――どうしたのですか、旦那様! そんな大声を出して。


――え? 俺の仔猫に手を出すな⁈


――こいつはねーちゃんには渡さん。俺の仔猫だ?


――ご主人様。

――笑われていますよ。


――お姉様、お腹を抱えて笑っています。


――お姉様に指を差されていますよ!


――お姉様・・・弟の事よろしく?


――もちろんです! 私にお任せください!


――だったら安心ね? はい! ご主人様は私がしっかり面倒見ますので!


――ご主人様! 私達の事、お姉様が認めて下さいました!


――お姉様! なんで笑っているのでしょうか?


――お似合いね? ハイ! ありがとうございます。


 女が猫を撫でる音。(手を擦る)


――あん。お姉さま。ごろにゃあ。


 男が猫を姉から離す音。(マイクの近くで生音作って)


――ご主人様。嫉妬ですか?

――ほら、お姉様笑っていますよ。


――いいんだ? お前は俺だけのもの?


――嬉しいです。ご主人様。


――でも、お姉様があきれたような顔をしていますよ。

――ほら、もう帰るって言っています。


――あ、本当に帰ろうとしていますよ。


 足音。(SE)

 ドアが開いて閉じる音。(SE)


――また来てくださいね。お姉さま。


――素敵な方でしたね。


――そういえばご主人様、熱は大丈夫ですか。


 猫が顔をスリスリする音。(手を擦る)


――熱は下がったみたいですね。


――でも、無理しちゃだめですよ。


――着替えますか? それがいいですね。


 着替えの音。衣擦れ等。(布を擦ったりする)


――疲れましたか? 今日は寝て下さい。


――え? 側にいて欲しいのですか?


――添い寝、して欲しい? うん。いいですよ。


――早くベッドに行きましょう。


 ベッドのきしむ音。(SE)


――(耳元でささやく)ご主人様、元気になったら、いっぱい私の体、触っていいですから。


――今日はゆっくり休んでくださいね。


――ご主人様が寝るまで、側で見守ってあげ・・ましゅ・・かにゃ・・

――にゃい好きですよ。ごしゅじん・・さ・・・・にゃ・・・・・


  スースーと猫の寝息が耳元にかかる。(息)


 メインテーマが流れる。(ME)


 

 『ごしゅじんさまのためにゃらば🐾』完結。

(ここまでで、一万字クリア)


※この物語はフィクションです。いかなる個人・団体・ペットとは関係ありません。

※ヒロインは猫です。猫のフリした女の子ではありません。

※性的な行為は一切しておりません。猫と飼い主のふれあいです。

※本作品は猫が餌を食べたり、すりすりしたり、なでたりしているほほ笑ましいお話です。

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