第2話 ご主人様の休日

――もう、明日お休みだからってそんなに飲んじゃダメですよ。


 グビグビと缶ビールを飲む音。SE。

 猫を撫でる。手で音を表現。


――もう、気持ちいいですか?


――ご主人様だけ気持ちよくなって・・・ずるいです。


――「気持ちよくないの?」ってなに聞いているんですか?


――ゴロゴロって音きこえてますよね。


――え、君の口から聞きたい?


――恥ずかしいです・・・もう、何言わせようとしているんですか。この酔っぱらい!


――何笑っているんですか? 酔っぱらいと一緒にしないで下さい。


――え? 私も酔ったらいいって?


――何言っているんですか。飲みませんよ。アルコールは猫には毒ですから。


――ビールじゃない? なに? 何をしようと?


――ご主人様、それは・・・


――そんなに私をおかしくしたいの? なんで? いじわる!


――ダメ! それだけは許して!


――鬼畜! ご主人様酷い! そんな・・・そんな太いの出して・・・


――嫌! 顔の前に近づけないでよ・・・


――ダメ! ・・・もう。しゃぶりたくなっちゃうじゃない・・・あん。舐めたい。


――私のそんな乱れた姿が見たいの? 本能のまましゃぶればいいって・・・


――変態! ご主人様変態です! う~。


――我慢できないよ~。こんなに黒くて、おっきくて、立派なものを・・・口元に押し付けるなんて・・・ああ、もう・・・我慢できないよ~!


――舐めたい・・・。 噛みついてもいい? むしゃぶりつきたい!


――本当に? 舐めていいの? でも・・・ 


――こんなに魅力的なマタタビ出されたらおかしくなっちゃうよ~。


――あん。だめ・・・。いやぁ~。んにゃあ~~~! よだれが~~! 恥ずかしいよ~。見ないで~!


――「体は正直だね」って、ひどいでしゅ~! こんな体にしたの誰のちぇいですか!


――ふにゃ~! おかしくなっちゃう。

――ごしゅじんしゃにゃ~! もうダメ! おかしくなってる!


――ごしゅじんさま~! きもちいいにゃ~


――もう、変態! んにゃあ~~~! 好きにしたらいいにゃ~!


――私も酔っぱらったんにゃあにゃにゃにゃ~!


 メインテーマが流れる。(ME)



 遠くで鳥の鳴き声(SE)

 ペロペロと頬を舐める音。(リップ音)

 顔を擦り付ける音。(手で表現)

 など、猫がなんとか寝ているご主人様を起こすために頑張っている音が続く。


――起きてください。ご主人様。


――もう……昨日飲み過ぎるから。


――耳舐めちゃうから。


 ビクッっと寝返りを打つ音(SE)


――ほら、朝ですよ。せっかくの休日なんですから。


――え? 一緒に寝ていよう? もう、朝から何言っているんですか。


――お疲れですか? でももう9時ですよ。


――一時間前もそう言って、私を抱きしめたまま二度寝したんですよね。


――そろそろ起きて下さい。


 起き上がる音(SE)

 服を着替える衣擦れの音(SE)


――今日はちゃんとした朝ごはんを食べて下さいね。私が用意できればいいんですけど。


――猫ですから。無理なんです。お役に立ちたいのですが・・・


――私のご飯じゃなくて! あなたの朝ごはんです。




 ほのぼのした曲が流れる(ME フリー素材可)


 ガス台に火を着ける音。(SE)

 フライパンを置き、卵を焼く音。(SE)

 その間にキャベツを刻む音。(SE)

 チンというトーストが焼けた音(SE)

 猫缶を開けて盛りつける音(SE)


 その間、絶えず足元でにゃーにゃーと猫の声がしている。


 料理完成と同時に、曲が終わる。



――トーストに目玉焼きにサラダと牛乳。

――私には、いつもの猫缶とミネラルウォーター。


――ご主人様、今日は完璧な朝ごはんです。

――やればできるじゃないですか。


――はい。一緒に食べましょう。

――いただきます。


 猫缶を食べる音。(SE)


――美味しいです。

――ご主人様も美味しそうに食べていますね。

――あ、ご主人様、ほっぺにパンくずが。


 タタタッっとイス、テーブルへと飛び移る足音。(SE)

 口元を猫が舐める音。(リップ音)


――あん。美味しいです。

――くすぐったいですか? でもパンくず付けるのは恥ずかしいですよ。

――私がご主人様の口元を舐めれば、ご主人様は綺麗になるし、私はおいしく食べるので一石二鳥じゃないですか。


――あんまりバターとか舐めちゃダメなのですか?

――分かりました。ご主人様の体についたものだけしか舐めません。


――美味しいのですが。はい。我慢します。


――ご主人様の体についたバターなら舐めてもいいですよね。

――少しだけ・・・ですから。


――約束します。ご主人様についたバター以外は舐めません。舐めるのはご主人様だけです。


――あ、ここにも付いてますよ。舐めても・・・いいですか?

――なに照れているんですか? ああ、舐めたい。


――いじわる・・・しないでください。少し舐めるだけ・・です。

――じらさないで下さい。

――舐めますよ・・・我慢・・できません。


 口の側を舐める音(リップ音)


――ああ。おいしい。ご主人様、おいしいです~。


 ガタッっと立ち上がる音(SE)

 皿を集める音(SE)

 水道の蛇口を捻り、洗い出す音(SE)


 足元でにゃーにゃーと猫の声。

 洗い終わる。


――ご主人様、えらいです。ちゃんと片づけをしましたね。


――じゃあ、今日は何をしましょうか。おでかけですか?


――せっかくの休日だからゆっくりしたい?


――いいですね。私もお出かけは苦手なんです。

――猫はお家が好きなんですよ。


――アニメ、見たいんですか?

――いいですね。せっかくだから部屋暗くして見たい?

――いいですよ。猫は暗い所も好きですから。


 足音。(SE)

 カーテンを閉める音。(SE)

 ベッドに腰掛ける音。(SE)


――じゃあ私、ご主人様の膝の上にいますね。

――いいですよ。撫でて下さい。


 猫を撫でる音(手でこする)

 ごろごろと喉の鳴る音(SE)


――気持ちいいです。もっと撫でてもいいですよ。


――あ、始まりますね。今日は何を見るのですか?


――休日だから映画ですか。


――ゲロゲロの鬼一郎~誕生前夜の謎々~ですか?


――怖い話でないでしょうね。


――へ、平気ですよ!


――変えようか? いいです! ご主人様が見たいのですよね。


――……あなたが見たいなら、私も一緒に見ますよ。


――あ、でも……しっかり捕まえていてくださいね。

――安心できるように。


 おどろおどろしい和楽器の音が静かに響く。音楽というよりサウンド程度。(SE)

 雨の中、水たまりを歩く音。(SE) 

 「ここが孤暮し村。あの人が最後に立ち寄った村」(アニメのセリフ。ヒロインの別撮り)

 カラスの鳴き声が響く。(SE)


――フニャーーーーーーー(大声で叫ぶ)


 飛び退いて駆け出す猫の騒音。(SE)

 ブルーレイ、一時停止の音。(SE)


――だ、大丈夫です。驚いただけです。


――戻っておいで? う、うん。

――ご主人様、守ってくださいね。


 膝の上に乗る音。(SE)


――しっかり抱いて。お願い。

――笑わないで下さい。もう・・・離さないで。


――心の準備はできました。ご主人様と一緒ですから。

――不安? そうですね。初めてですから。怖い・・・怖い映画見るの初めてなのです。


――慣れると好きになるの? 怖いのも・・・気持ちよくなるんですか?

――じゃあ・・・あなたにおまかせします。私も・・・好きになりたい・・・


――続き・・・始めて・・・


 ピッというブルーレイ再生の音。(SE)


 和楽器の微妙な音が響き渡る。(SE)

 「誰か! 誰かいませんか!」(別撮りのヒロインのセリフ)

 (老婆の声)「誰だい・・・旅人かい? 早くお帰り・・・でないと・・ンフフフフフフフフフ(気持ち悪いわらい声。クレッシェンドで)どうなっても知らないよ。若いお嬢さん」(別撮りのヒロインのセリフ)

 カミナリの音が鳴り響く。(SE)


――ンギャー! ニャニャニャニャニャニャニャ~~~~~


――怖い怖い怖いです!

――ごしゅじんしゃにゃー! んにゃぁ~~~!


 バタバタと走り回る猫の足音。(ME)

 追いかける人の足音。(ME)

 猫を抱きしめる音。(ME)


――ご主人様。あ、ありがとうございます。


――抱きしめられると安心します。


――ご主人様。無理です。怖いの見なくていいですか?


――本当に? でも・・・楽しみにしていたんですよね。


――そんな事より私が大事? え?


――うん。嬉しいです。


――優しいんですね。


――落ち着くまで抱いてくれますか?


――ベッドで? うん。抱いてください。


――一緒に・・ゴロゴロしましょうね。


――うん。こんな休日も素敵ですね。


――ご主人様とゴロゴロニャ~。


――一緒に寝ましょう。ベッドで一緒に。


――抱きしめながらですよ。


 ベッドのきしむ音。(ME)

 抱きしめられる衣擦れの音。(服を擦る)

 耳元を舐める音。(リップ音)


――ごしゅじんにゃにゃ~。だいしゅき。


 スースーと猫の寝息が耳元にかかる。(息)


 メインテーマが流れる。(ME)


 第二話 完




 繰り返します。

※ヒロインは猫です。猫のフリした女の子ではありません。

※性的な行為は一切しておりません。猫をモフっているだけです。

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